「血圧が低いと貧血になりやすい」と思っていませんか?
実は、貧血と血圧はまったく別のもの。医学的にも直接の関係はありません。ややこしいのは、「脳貧血」や「起立性低血圧」といった紛らわしい言葉のせいで、症状の違いがわかりにくくなっていることです。
この記事では、貧血と血圧の違いをわかりやすく解説しながら、自分の体の状態を見極めるヒントをお届けします。
貧血と血圧は別物?
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが少なくなり、酸素がうまく体に行き渡らない状態のこと。
一方で血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことです。
仕組みも働きも異なるため、基本的には貧血と血圧に直接的な関係はありません。
ただ、重度の貧血になると血流が弱くなって血圧が下がることもあります。
軽度〜中等度では影響はほとんどありませんが、重度になると血圧低下を引き起こす可能性もある、ということは覚えておくとよいでしょう。
「脳貧血」ってなに?
「駅で貧血になって…」という表現、よく耳にしますよね。でもこれ、多くの場合は「脳貧血」と呼ばれる状態です。
脳貧血は正式な医学用語ではなく、急に立ち上がったときなどに一時的に脳への血流が減って起こる、ふらつきや立ちくらみのことを指しています。原因は一時的な血圧の低下、つまり「起立性低血圧」で、貧血とはまったく別の仕組みです。
症状が似ていても、原因は違う
貧血も低血圧も、背景には酸素不足があるため、次のような似た症状が出ることがあります。
共通する症状例:
– めまい
– 立ちくらみ
– 頭痛
– 失神
– 息切れ
– 動悸
– 倦怠感
– 疲労感
このため、「貧血かな?」と思っていたら、実は低血圧だったというケースも。
似ているけれど原因は異なるので、症状が続くときは一度検査を受けて、正しく原因を見極めましょう。
血圧ってそもそも何?
血圧は、心臓が収縮して血液を全身に送るとき、血管の壁にかかる圧力のこと。数値は「収縮期血圧(上の血圧)」と「拡張期血圧(下の血圧)」の2つで示されます。
正常な血圧の目安は以下の通りです。
血圧分類 | 収縮期(上の血圧) | 拡張期(下の血圧) |
---|---|---|
正常値 | 100~140 mmHg | 60~90 mmHg |
高血圧 | 140 mmHg以上 | 90 mmHg以上 |
これは日本高血圧学会の目安にもなっています。
低血圧には明確な基準はありませんが、一般的には上が100mmHg未満の状態を指すことが多いです。
ただし、個人差も大きいため、数値だけで判断せず、症状の有無も重要なポイントになります。
血管の働きと「むくみ」の関係
血液は、動脈 → 毛細血管 → 静脈という流れで体内を循環し、酸素や栄養を届けています。
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動脈:心臓から出た血液を運ぶ太い血管。圧力に強い構造。
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毛細血管:体の隅々まで張りめぐらされた細い血管。酸素や栄養の受け渡しを担います。
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静脈:使い終わった血液を心臓へ戻します。ゆっくりとした血流が特徴です。
この毛細血管での水分調整がうまくいかないと、むくみが起きやすくなります。
たとえば、心臓の働きが弱っていたり、血液中のたんぱく質が足りないときなどが要注意。
貧血と直接の関係はありませんが、血圧や血管の働きと深くつながっているため、体調管理の参考になります。
あらためて、貧血とは?
貧血は、赤血球やヘモグロビンの量が不足して、体に十分な酸素が運ばれなくなる状態のことです。
なかでも一番多いのが「鉄欠乏性貧血」。これは鉄分が不足して、赤血球がうまく作れなくなるタイプです。
貧血かも…と思ったら、原因を正しく知って、自分に合った対策を取ることが大切です。
もっと詳しく知りたい方は、関連記事もぜひチェックしてみてくださいね。

まとめ
不調の原因がはっきりしないまま放置してしまうと、日常生活に支障が出ることもあります。この記事で得た知識をきっかけに、まずは症状を記録することから始めてみましょう。
また、体調の変化を感じたら、早めに血液検査や血圧測定を行うのもおすすめです。自分の状態を「なんとなく」ではなく、数値で把握していくことが健康への第一歩になります。
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