「最近なんだか疲れやすい」
「立ちくらみが増えた」
「肌の色が悪いと指摘された」
そんな症状に心当たりはありませんか?
それは「小球性貧血」のサインかもしれません。
本記事では、小球性貧血の原因・症状・診断方法・治療・予防法までを徹底解説します。
あなたの体調と照らし合わせながら読み進めてください。
小球性貧血とは?
小球性貧血は、体の中で酸素を運ぶ働きをしている赤血球が、通常よりも小さくなってしまい、十分に酸素を届けられなくなる病気です。
酸素が足りずに体調が悪くなる、それが小球性貧血の大きな特徴です。
本来、赤血球は“酸素運び屋”として全身に酸素を届けます。
でも赤血球が小さくなると、酸素を運ぶ力が弱まり、体が「息苦しい・疲れる」と感じてしまいます。
たとえば、鉄分が不足すると赤血球がうまく作れなくなります。そうすると、階段を上がるだけで息切れしたり、朝起きても疲れが取れなかったりすることがあります。
小球性貧血は見た目では分かりづらいですが、実は体の中では深刻な変化が起きています。
放っておくと、毎日の生活に影響が出てくるので、少しでも不調を感じたら早めにチェックしましょう。
小球性貧血の原因
小球性貧血の主な原因は、大きく3つに分けられます。
小球性貧血の多くは鉄分不足が原因ですが、病気や遺伝的な体質も関係しています。
- 鉄分の不足:成長期やダイエット、月経などで体の鉄が減ると、赤血球がうまく作れず貧血になります。
- 体内の病気:腎臓の病気や慢性的な炎症があると、鉄が体の中にあっても利用されにくくなり、赤血球が作られにくくなります。
- 遺伝的な体質(サラセミアなど):生まれつき赤血球をつくる仕組みに異常があると、鉄があっても赤血球が正常に作れず、慢性的な貧血になります。
このように、小球性貧血の原因にはいくつかのタイプがありますが、特に日本人には「鉄分不足」によるものが多く見られます。日々の食事や体調管理を意識することで、予防や早期発見につながります。

セルフチェック|小球性貧血の症状のサインはありませんか?
以下の項目に当てはまるものが多い方は、小球性貧血の疑いがあります。
- 朝起きても疲れが取れない
- 最近めまいや立ちくらみが増えた
- 肌が青白いと感じる
- 爪が反っている、割れやすい
- 息切れしやすい
- 集中力が続かない
- 寒がりになった
【3つ以上当てはまる場合】→ まずは病院で血液検査を受けて、自分の体の状態を確かめてみましょう。

診断方法と検査内容
小球性貧血かどうかを知るには、病院で血液検査を受けるのが一番確実です。
血液の状態を数値で確認することで、赤血球の大きさや酸素を運ぶ力、鉄の量などが正確にわかります。それによって、どのタイプの貧血なのかが判断できます。
主に以下の3つの検査項目をチェックします
- MCV(エムシーブイ):赤血球が小さいか大きいかを示す数値です。
- Hb(ヘモグロビン):酸素を運ぶ力を測る指標で、数値が低いと貧血が疑われます。
- フェリチン・血清鉄:体にどれくらい鉄があるかを調べる検査で、鉄分不足の有無がわかります。
これらの結果を見て、医師が「どういう貧血なのか」「どの治療が最適か」を判断します。
つまり、血液検査は小球性貧血を見つけるための大切な手がかりです。
気になる症状がある人は、ぜひ一度、検査を受けてみましょう。
治療法と回復の流れ
小球性貧血は、原因に応じて3つの方法で治療できます。
小球性貧血は、体の中の鉄分が不足したり、赤血球がうまく作れなかったりすることで起こるため。
鉄を補い、正しく治すことが大切です。
具体的な治療法には以下の3つがあります
- 鉄を補うおくすり:体の鉄分を増やすために、飲み薬や注射で鉄を補います。
- 食事の見直し:レバーや赤身肉、ひじきなど鉄を多く含む食べ物を、毎日の食事に取り入れます。
- 原因となる病気の治療:腎臓病などが原因であれば、その病気をしっかり治療します。
たとえば、鉄分不足だけが原因であれば、鉄剤を飲むだけで元気になる人もいます。一方で、基礎疾患がある場合は回復までに時間がかかることもあります。
小球性貧血は、適切な治療を行えば良くなる病気です。自分に合った治療法を見つけ、焦らずじっくりと取り組むことが大切です。
食生活でできる予防法
赤血球を作るために鉄は欠かせない栄養素。
ところが、現代の食生活では鉄分が不足しやすく、知らないうちに貧血の原因をつくってしまうこともあります。
日常の食事を少し意識するだけで、小球性貧血の予防や改善につながります。
「なんだか元気が出ない…」と感じたときは、まずは食生活を見直しましょう。
効率よく鉄を取るために、こんな工夫を取り入れてみましょう
- 鉄を多く含む食材:レバー、赤身の肉、カツオ、ひじき、大豆など
- ビタミンCとの組み合わせ:鉄の吸収率がグンと上がるので、野菜やフルーツと一緒に摂るのがコツ!
- カフェインはタイミングを意識:お茶やコーヒーは食後すぐでなく、少し時間をおいて飲むと吸収を邪魔しにくくなります
毎日の食事に少し気を配るだけで、あなたの体はきっと応えてくれます。
「健康になりたいけど、何から始めればいいかわからない…」という方にこそ、
まずは“食べること”から始めてみてくださいね。
必要に応じて、医師と相談しながらサプリメントを使うのも◎です。
FAQ(よくある質問)
Q1. 妊娠中でも治療できますか?
A. はい。妊娠中は特に鉄不足になりやすいため、医師の指導のもと治療が行われます。
Q2. 子どもでもなりますか?
A. なります。成長期の鉄不足や遺伝的要因による場合があります。
Q3. 放置するとどうなりますか?
A. 慢性疲労、集中力低下、免疫力低下などが生じ、生活の質が大きく低下します。
まとめ|あなたの「なんとなく不調」は、体からのサインかも
小球性貧血は、日々のちょっとした不調に隠れていて、見逃されがちな症状です。
ですが、血液の状態を知ることで早期に気づくことができ、日常の食事や生活習慣を見直すことで予防・改善も可能です。
まずは自分の体に耳を傾け、「あれ?おかしいな」と思ったら、医療機関で血液検査を受けてみましょう。
あなたの体は、あなたが一番大切にしてあげられる存在です。
参考文献
- 日本鉄バイオサイエンス学会.「鉄欠乏と貧血」
- 日本赤十字社 献血ルーム「貧血ってどんな病気?」
- 公益社団法人 日本栄養士会「貧血予防のための食生活」