健康診断や病院での血液検査で、結果が基準値から外れていて不安になったことはありませんか?
そんなとき、なんとなく不安を感じたり、逆に「基準値に入っているから大丈夫」と安心してしまうこともあるかもしれません。
しかし実は、この「基準値」は、必ずしも“健康の証”とは限らないのです。
この記事では、貧血の有無を判断する際にチェックされる血液検査の主な項目について、「基準値とは何か」「どのように数値を読み解けばよいか」をわかりやすく解説します。
「この数値って大丈夫なの?」「結果を見てもよくわからない…」と感じている方に向けて、具体的な参考値も交えながら、丁寧にご紹介していきます。
血液検査でチェックされる「貧血に関わる11項目」
血液検査で貧血の有無を調べるときは、以下の11項目がよく確認されます。
それぞれの項目が何を意味しているのかを知っておくと、結果の見方がぐっと分かりやすくなりますよ。
ヘモグロビン濃度(Hb)
1dl中に含まれるヘモグロビンの量。最も重視される貧血診断の指標で、数値が低いと鉄欠乏性貧血が疑われます。
赤血球数(RBC)
血液1μl中に含まれる赤血球の数。多すぎると多血症、少なすぎると貧血の可能性があります。
ヘマトクリット値(Ht)
血液中の赤血球が占める割合を示す数値。脱水や貧血の判断材料として使われます。
平均赤血球容積(MCV)
赤血球の大きさを表す指標。大きいとビタミンB12や葉酸の不足、小さいと鉄欠乏の可能性が考えられます。
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)
赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量を示します。貧血のタイプを見極めるときの参考になります。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
赤血球の中にどのくらいの濃度でヘモグロビンが含まれているかを示す数値です。
網赤血球/網赤血球数
新しく作られた赤血球の数で、骨髄での造血が活発かどうかをチェックできます。
白血球数(WBC)
主に感染症の有無や体内の炎症反応を判断するための項目です。
血小板数(PLT)
出血を止める働きがある血小板の数。少ないと出血しやすい体質、多すぎると血栓のリスクが考えられます。
「基準値」って何?「正常値」とどう違うの?
血液検査の結果でよく見る「基準値」は、健康な人の95%が当てはまる範囲を指します。
つまり、基準値に入っているからといって「絶対に安心」、外れているからといって「すぐに病気」というわけではありません。
以前は「正常値」と呼ばれていましたが、誤解を招かないよう、現在では「基準値」という表現に統一されつつあります。
血液検査の基準値一覧(男女別)
項目 | 基準範囲(男性) | 基準範囲(女性) | 単位 |
---|---|---|---|
ヘモグロビン濃度(HB) | 13.5~16.9 | 11.4~15.0 | g/dl |
赤血球数(RBC) | 401~540 | 374~497 | ×10,000/μl |
ヘマトクリット値(Ht) | 39.0~51.2 | 35.5~45.5 | % |
MCV | 86.3~102.6 | 86.3~102.6 | fl |
MCH | 27.7~33.8 | 27.7~33.8 | pg |
MCHC | 86.3~102.6 | 86.3~102.6 | % |
網赤血球 | 0.7~2.2 | 0.7~2.2 | % |
網赤血球数 | 3.0~9.0 | 3.0~9.0 | ×10,000/μl |
白血球数(WBC) | 3.1~9.5 | 3.1~9.5 | ×1,000/μl |
血小板数(PLT) | 15.1~34.9 | 15.1~34.9 | ×10,000/μl |
※出典:NTT関東病院/「貧血と血液の病気」(浦部晶夫著)
基準値から読み取れること・読み取れないこと
血液検査の基準値は、「健康かどうか」を判断するための参考の目安にすぎません。
診断の決定打ではないという点を、まずは知っておくことが大切です。
なぜなら、以下のような理由があるからです。
- 基準値内でも不調を感じることがある
- 医療機関によって基準値や単位が異なる
- 体調やストレス、睡眠不足などで数値が変動する
こうした背景があるため、ひとつの数値だけを見るのではなく、複数の項目をあわせて総合的に判断する必要があります。
貧血と診断されるまでの流れ
たとえば、ヘモグロビン値が低いからといって、それだけで「貧血」とは限りません。
貧血にはさまざまなタイプや原因があり、他の数値とのバランスを見ながら診断が進められます。
以下のようなステップで総合的に判断されます。
- ヘモグロビン値の低下を確認
- 赤血球数・ヘマトクリット値・MCV・MCHなどの異常をチェック
- 網赤血球などの造血反応もあわせて確認
- 必要に応じて、追加検査や問診で原因を特定
よくある誤解と正しい理解
- 「基準値内なら100%安心」は間違い
- 「基準値外=すぐ病気」も誤解
本当に大事なのは、「その数値がどのように変化しているか」という視点です。
過去の検査結果と見比べて、徐々に低下しているのか、急激に変動していないかなど、状況を把握することが早期発見につながります。

まとめ:数値を見るときに大切なこと
血液検査の結果を見たときは、「基準値かどうか」だけにとらわれず、その背景にある体の変化や原因にも目を向けてみましょう。
もしご自身の数値に気になる点がある場合は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。


今回の記事が、あなたの健康管理に役立つきっかけになれば幸いです。