血液検査の結果でよく目にする「血漿(けっしょう)」と「血清(けっせい)」。この二つは何が違うのでしょうか?
実は、その違いを理解するには「血液の凝固(固まる仕組み)」を知ることが重要です。
本記事では、血漿と血清の違いを分かりやすく解説し、血液がどのように固まるのかを詳しくご紹介します。
最後まで読むことで、血液検査の結果をより深く理解し、自分の健康状態を把握するのに役立てることができます。
また、血液の凝固の仕組みを知ることで、止血や血栓に関する知識も得られ、日常生活での健康管理にも活用できます。
1. 血漿と血清の違いとは?
血漿と血清の違いを一言で表すと「血漿にはフィブリノゲンが含まれ、血清には含まれない」という点にあります。
血漿とは?
血漿は、血液から血球成分(赤血球・白血球・血小板)を取り除いた液体成分です。フィブリノゲンを含んでおり、血液が固まる際に重要な役割を果たします。
血清とは?
血清は、血液が凝固した後に得られる液体成分で、フィブリノゲンが取り除かれています。つまり、血漿が凝固して血餅(けっぺい)を形成した後に残るのが血清です。

2. 血液の構成要素とその役割
血液は、大きく分けて以下の要素から構成されています。
- 赤血球:酸素を運び、二酸化炭素を回収する。
- 白血球:体内に侵入した細菌やウイルスと戦う。
- 血小板:傷口をふさぎ、出血を止める。
- 血漿:栄養やホルモンを運び、老廃物を除去する。
血液の半分以上を占める血漿には、水分、タンパク質(アルブミン、グロブリンなど)、電解質(ナトリウム、カリウムなど)が含まれています。
3. 血液が固まる仕組み(血液凝固)
血液が固まることで、私たちはケガをしても出血が止まり、傷口がふさがります。これは、「一次止血」と「二次止血」という二段階のプロセスで行われます。
一次止血(血小板の働き)
血管が傷つくと、血小板が損傷部位に集まり、仮のフタを作ります。これを「一次血栓」といいます。しかし、これはもろく、長くは持ちません。
二次止血(フィブリンの働き)
次に、血漿中のフィブリノゲンが活性化され、フィブリンという繊維状の物質が形成されます。このフィブリンが一次血栓を補強し、しっかりとした血栓(=二次血栓)を作ることで止血が完了します。
4. 血漿と血清の違いを図解で解説
血液を試験管に採取し、しばらく放置すると、血液は次のように二層に分かれます。
- 血清(上層):淡黄色の透明な液体。フィブリノゲンが除かれている。
- 血餅(下層):赤血球、白血球、血小板がフィブリンに絡まった固まり。
一方、抗凝固剤を加えて血液を遠心分離すると、血漿と血球成分に分かれます。
- 血漿(上層):フィブリノゲンを含む液体成分。
- 血球成分(下層):赤血球、白血球、血小板。
この違いが、血清と血漿の本質的な違いを示しています。
5. まとめ:血漿と血清の違いを理解するメリット
血漿と血清の違いを理解することで、血液検査の結果をより深く読み解くことができます。例えば、「血清鉄」の測定では、フィブリノゲンが除かれた血清を用いることで、体内の鉄の状態を正確に把握できます。
また、血液の凝固の仕組みを知ることで、止血や血栓に関する知識が深まり、健康管理にも役立ちます。
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