赤ちゃんの鉄分不足は、10年~20年先の健康にまで影響することがあります。特に、生後6か月から授乳が終わる2歳頃までは、鉄分補給がとても大切な時期です。
この記事では、赤ちゃんに鉄分が必要な理由や不足のリスクについてわかりやすくご紹介します。
なぜ赤ちゃんは鉄分不足になりやすいの?
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で鉄分を蓄えて生まれてきますが、その蓄えは生後6か月頃にはなくなってしまいます。さらに、母乳やミルクに含まれる鉄分の吸収率は低く、必要な量を補うのが難しいのです。
母乳とミルクの鉄分は不足しやすい
母乳に含まれる鉄分の吸収率は約20%とされていますが、もともとの量が少ないため、6か月以降は1日に必要な量をまかなうのが難しくなります。ミルクは鉄の量こそ多いものの、吸収率はさらに低く、約7%ほどしか吸収されません。
胎内からの鉄分も使い果たす
妊娠中にお母さんから受け取った鉄分も、生後6か月を過ぎるころには使い切ってしまいます。そのため、この時期からは食事を通して意識的に鉄分を補っていく必要があります。

鉄分不足によるリスクとは?
鉄分が不足すると、「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる状態になりやすくなります。これにより、赤ちゃんの発達や健康にさまざまな影響が出ることがあります。
- 成長障害
- 免疫機能の低下
- 精神運動発達の遅れ
- 認知機能の低下
こうした影響は一時的なものではなく、長期的に続くこともあるため、早めの対応がとても大切です。
鉄分補給が必要な時期と量
鉄分が特に不足しやすいのは、生後6か月から2歳頃まで。この時期は心身ともに成長が著しく、鉄分の必要量も増えていきます。
月齢別の推奨摂取量(2015年版)
- 6か月の男の子:5.0mg/日
- 6か月の女の子:4.5mg/日
母乳やミルクだけでは、このうちの1割程度しか摂取できないとされているため、残りのほとんどは離乳食などから補う必要があります。
赤ちゃんに多い2種類の貧血
赤ちゃんの貧血には「生理的貧血」と「鉄欠乏性貧血」の2種類があります。
生理的貧血とは
生後2〜3か月頃に見られるもので、一時的な自然現象です。赤ちゃんの赤血球の寿命が約120日であることと、生まれてすぐの時期に赤血球の産生が一時的に止まることが重なり、一時的に貧血になります。これは特別な治療が必要ないケースが多いです。
鉄欠乏性貧血とは
生後6か月以降に起こりやすい貧血で、鉄分の不足が原因です。母乳やミルク、離乳食からの鉄分が足りないときに見られます。
鉄分不足のサインと対策
こんな様子が見られたら要注意
- 元気がない
- ぐずりやすい、すぐ泣く
- 集中力がないように感じる
- まぶたの裏が白っぽい(あっかんべーで確認)
離乳食で補って対策を
鉄分が豊富な食材を積極的に離乳食に取り入れていきましょう。
- レバー
- 赤身の肉や魚
- 小松菜やほうれん草
- 鉄分強化のベビーフードやシリアル

赤ちゃんの鉄分補給は「意識的」に
赤ちゃんは、生後6か月を過ぎる頃から鉄分が不足しやすくなります。母乳やミルクだけでは必要な量を補えず、鉄分が足りない状態が続くと、発達や健康に長く影響を及ぼすおそれがあります。
だからこそ、離乳食をうまく活用しながら、鉄分を意識して補うことが大切です。毎日の小さな工夫が、将来の健康を支える大きな一歩になります。

