妊娠中の貧血は、赤ちゃんの発育や出産に影響を与える可能性があります。しかし、妊娠してから鉄分を補おうとしても、すでに手遅れのケースが多いのが現実です。
本記事では、妊婦の約40%が貧血を経験しているというデータをもとに、貧血の原因、赤ちゃんへの影響、そして妊娠前からできる効果的な貧血対策を解説します。妊娠を考えている方や、すでに妊娠中の方はぜひ参考にしてください。
1. 妊婦の貧血が多い背景
厚生労働省によると、日本の妊婦の30~40%が貧血を経験しており、先進国の平均18%と比較しても非常に高い数値です。この背景には以下のような要因があります。
- 若年女性の鉄分不足が多い
- 日本の食生活では鉄分が不足しがち
- 貧血予防の啓発が不十分
妊娠中は通常時よりも多くの血液が必要となるため、元々鉄分が不足している場合、妊娠によって貧血を発症しやすくなります。
2. 貧血が赤ちゃんに与える影響
妊娠中の貧血は、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があります。ハーバード大学の研究では、妊娠初期から中期にかけて貧血だった妊婦の子どもは、低出生体重児になる確率が1.29倍、早産のリスクが1.21倍と報告されています。
さらに、最近の研究では、妊娠中の貧血が赤ちゃんの将来的な健康状態にも影響する可能性が示唆されています。そのため、妊娠中だけでなく、妊娠前から貧血対策をすることが重要です。
3. 妊婦が貧血になりやすい2つの原因
1. つわりによる食事不足
妊娠初期に起こる「つわり」によって、食事がままならなくなることがあります。特に吐き気が強い場合は、食事量が減ることで鉄分不足に陥り、貧血を引き起こしやすくなります。
つわりのピークは妊娠7~9週頃ですが、この時期は赤ちゃんの臓器形成が進む大切な時期でもあります。つまり、妊娠初期につわりで鉄分不足になると、赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があるのです。
2. 血液の薄まり現象(生理的貧血)
妊娠すると、出産時の出血に備えて母体の血液量が増加します。しかし、血液の液体成分(血漿)の増加率が、血球成分(赤血球)の増加率よりも高いため、結果的に血液が薄まった状態になります。これにより、ヘモグロビン濃度が低下し、「妊娠性貧血」と呼ばれる状態になりやすくなります。
4. 妊娠してからでは遅い!貧血対策の重要性
「妊娠が分かったらすぐに鉄分を補えば大丈夫」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には妊娠が分かった時点ではすでに鉄分不足が進行していることが多いのです。
鉄剤を服用した場合でも、貧血を改善するには1~2か月かかります。妊娠が発覚するのは通常妊娠6週前後ですが、その時点から対策を始めても、貧血が改善するのは妊娠10週頃。この間に赤ちゃんの主要な臓器が形成されるため、妊娠してから対策するのでは遅いのです。
5. 妊娠前からできる貧血対策
1. 鉄分を多く含む食品を摂る
- ヘム鉄(吸収率が高い): 赤身の肉、レバー、魚類
- 非ヘム鉄(吸収率が低い): ほうれん草、大豆製品、ひじき
2. 効率よく鉄を吸収する食事の工夫
鉄分の吸収率を高めるために、ビタミンCと一緒に摂ることが効果的です。
3. 鉄分の補給に役立つサプリメント
食事だけで十分な鉄分を摂るのが難しい場合は、鉄分サプリメントを活用するのも一つの方法です。

まとめ
妊娠中の貧血は、母体だけでなく赤ちゃんの健康にも影響を及ぼします。妊娠してから慌てるのではなく、妊娠前から鉄分補給を意識することが重要です。
今日からできることとして、まずは食生活を見直し、鉄分を意識した食事を取り入れることから始めましょう!

