「血液検査でコレステロールが高いと言われたけど、体調に問題ないし大丈夫かな…」
「太っているわけでもないのに中性脂肪が高いのはなぜ?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
実はこれらの脂質異常、食生活や体型だけが原因とは限りません。
意外なことに、“鉄分不足”が関係しているケースもあるのです。
この記事では、血液検査で気になる「コレステロール」と「中性脂肪」の数値を中心に、脂質異常症と鉄分不足の意外なつながりをわかりやすく解説していきます。
コレステロールと中性脂肪が高い人に共通すること
血液検査の数値に異常が見られる人には、実はある共通点があることをご存じでしょうか?ここではその特徴や背景をわかりやすくご紹介します。
実は女性の方が多い脂質異常症
「コレステロールが高い」と聞くと、中年男性のイメージがあるかもしれません。
でも、実際は女性の方が脂質異常症になりやすい傾向があります。
厚生労働省の調査によると、脂質異常症の患者数は女性が男性の約2.5倍。特に40代以降の女性に多く見られるのが特徴です。
痩せていても油断は禁物
脂質異常=太っている、というイメージがあるかもしれませんが、痩せていても脂質異常になる人は少なくありません。鉄分不足やホルモンの影響で代謝がうまくいかず、血中の脂質が高くなることがあるのです。
脂質異常症が女性に多い本当の理由
鉄分と脂質代謝の関係
脂質をエネルギーとして使うためには、鉄分やビタミンB群などの「補酵素」が必要です。
これらが足りないと、代謝がうまくいかず、脂質が血中に残ってしまいます。
とくに鉄分は女性に不足しがちで、それが脂質異常の一因になっている可能性もあるのです。
「なんとなく不調」は鉄分不足のサインかも
疲れやすい、朝起きるのがつらい、イライラしやすい…
こうした“なんとなく不調”を感じるときは、鉄分不足が影響しているかもしれません。
脂質異常が招く病気と年齢に関する誤解
動脈硬化は中高年だけのものじゃない
「動脈硬化は中高年の病気」と思っていませんか?
国立循環器病研究センターによると、動脈硬化は10代から少しずつ進行しており、30歳頃には完成すると言われています。つまり、若い世代でも油断はできないのです。
動脈硬化が引き起こす疾患
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 閉塞性動脈硬化症
これらの疾患は命に関わることもあるため、脂質異常を「まだ大丈夫」と思わず、早期の予防が重要です。
コレステロールと中性脂肪の基礎知識
コレステロールとは
コレステロールは細胞膜やホルモンの材料になる、体にとって必要な脂質です。悪いイメージが先行しがちですが、適切な量は体の機能に欠かせません。
コレステロールの種類と働き
- LDL(悪玉):血管に蓄積し動脈硬化の原因に
- HDL(善玉):余分なコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐ
中性脂肪とは
トリグリセリド(TG)とも呼ばれ、エネルギー源として使われますが、増えすぎると動脈硬化のリスクが高まります。特に食後に上がりやすいのが特徴です。
血液検査で何が分かるのか?
脂質異常の判断は、以下の数値が基準になります(単位:mg/dl)
- 総コレステロール:130~219
- LDLコレステロール:70~139
- HDLコレステロール:男性40~80/女性40~90
- 中性脂肪(TG):30~149
コレステロールや中性脂肪が高くなる原因
脂質異常は一見して「不健康な生活習慣」に起因すると考えられがちですが、実際にはそれだけではありません。ここでは、代表的な原因に加え、意外と見落とされがちな要因もあわせてご紹介します。
- 食生活の乱れ(動物性脂肪、甘いもの、アルコールの摂りすぎ)
- 運動不足
- ストレス
- 栄養バランスの偏り(特に鉄分や脂質の不足)
- 遺伝的な体質(家族性高コレステロール血症)
- 糖尿病や腎臓病などの基礎疾患
脂質異常症の予防と改善方法
食事と栄養の工夫
青魚(EPA・DHA)や大豆製品、食物繊維を意識的に取り入れる。
適度な運動
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やすのに効果的です。
鉄分不足との関係とその対策
鉄分が不足すると、脂質をエネルギーに変える“ミトコンドリア”の働きが落ちてしまいます。結果として、脂質がうまく処理されず、血液中にたまりやすくなるのです。
特に女性は、月経による鉄の損失があるため、日頃から鉄分を意識することが大切です。
鉄分補給のポイント
- レバーや赤身の肉、ほうれん草、小松菜、ひじきなどがおすすめ
- ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします
- サプリを使う場合は、医師や薬剤師に相談しながら取り入れましょう
まとめ
脂質異常症は無症状で進行し、気づかないうちに動脈硬化や心疾患を引き起こす可能性があります。その背景には「鉄分不足」という見逃しがちな原因が潜んでいるかもしれません。血液検査の数値を見直し、自分の生活習慣を改善するきっかけにしましょう。日常のちょっとした意識の変化が、未来の健康を大きく左右するかもしれません。
