「鉄分を摂っているのに、なぜか疲れやすいまま…」そんなお悩みを抱えていませんか?実は、鉄分の吸収には“ヘプシジン”という体内ホルモンが深く関わっているのです。
この記事では、鉄分が体内でどのように吸収・調節されているのか、そしてその中心的な存在であるヘプシジンの役割について、文法構造を整えながら丁寧に解説していきます。
読み終えるころには、鉄分不足の真の原因や、ご自身に合った対策方法が自然と見えてくることでしょう。
貧血と鉄分の関係
貧血とは、血液中のヘモグロビン値が基準値を下回った状態を指します。その中でも特に多く見られる原因が「鉄分不足」です。
鉄が不足すると、ヘモグロビンの合成に支障をきたし、その結果として「鉄欠乏性貧血」を発症してしまうのです。生理や妊娠・出産、さらにダイエットや偏った食生活などが要因となり、多くの女性が貧血の予備群に分類される状況だといわれています。

鉄分が体内に存在する仕組み
人の体には、およそ3〜4gの鉄が存在しています。そのうち60〜70%は血液中のヘモグロビンに含まれ、ヘム鉄として酸素の運搬を担っています。
残りは、肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵鉄として蓄えられ、また、筋肉内ではミオグロビンとして、血液中ではトランスフェリン鉄として存在しているのです。
鉄の吸収とリサイクルの流れ
赤血球と鉄の再利用
赤血球の寿命はおよそ120日です。この寿命を迎えると、赤血球は脾臓に存在するマクロファージによって分解され、その中から鉄が回収されて再利用されます。1日に回収される鉄の量は20〜25mgといわれており、この鉄が新たな赤血球の合成に用いられています。
食事による補給の必要性
体から失われる鉄は非常に少量ですが、それでも毎日1〜2mgは排出されてしまいます。そのため、この失われた鉄分を補うには、日々の食事による補給が必要不可欠なのです。
フェロポーチンとヘプシジンの働き
体内の鉄は「フェロポーチン」というたんぱく質によって、細胞の外へ排出されます。そして、排出された鉄は「トランスフェリン」と結びつき、体の各所へと運ばれていきます。
このフェロポーチンの量を調整しているのが、「ヘプシジン」と呼ばれるホルモンです。ヘプシジンの分泌が増えると、フェロポーチンは分解され、鉄の排出が制限されます。反対に、ヘプシジンが減少すれば、フェロポーチンの活動は活発になり、鉄の吸収が促される仕組みです。
つまり、ヘプシジンは鉄の出入りを管理する「体内の鉄ゲートの番人」とも言える存在なのです。
ヘプシジンの分泌に影響する要因
ヘプシジンの分泌量は、以下のような要因によって変化します:
- 細菌感染や炎症(防御反応として増加)
- 体内の鉄飽和状態
- 骨髄からの造血シグナル
- 低酸素状態
これらの因子が相互に作用し合いながら、体の状態に応じてヘプシジンの量が調整されることによって、鉄の吸収と利用が制御されているのです。
食事からの鉄補給と吸収率の違い
食事に含まれる鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
吸収率の違い
- ヘム鉄:肉や魚など動物性食品に含まれ、吸収率はおよそ10〜30%です。
- 非ヘム鉄:野菜や穀類など植物性食品に含まれ、吸収率は1〜8%とされています。
鉄分が不足している場合、非ヘム鉄の吸収を助ける働きを持つDMT1やDcytbが増加し、吸収率が高まると報告されています。

鉄分不足を把握するために
鉄分不足には段階的な進行があります。最初に減少するのは貯蔵鉄(フェリチン)であり、その後、血清鉄が減少し、最終的にヘモグロビンも低下することで、貧血が明確に現れてくるのです。
血清フェリチンで確認しよう
血清フェリチンは、体内の鉄の蓄え状況を最も正確に反映する指標の一つです。健康診断では測定されないことが多いものの、自宅で使える検査キットなどで調べることも可能です。

まとめ
鉄分の吸収は、「鉄を摂るかどうか」だけで決まるものではなく、体内の状態やホルモン(ヘプシジン)の働きによって大きく左右されます。
毎日の食事で鉄分を意識的に補給することに加え、自分の体に今どれだけの鉄があるのか、つまり「把握すること」が何よりも重要です。
もし「最近体がだるいな」「集中力が続かないかも」と感じることが増えたなら、一度ご自身のフェリチン値を確認してみてはいかがでしょうか。

