「手足がいつも冷えている」「なんだか疲れやすい」──そんな不調、日常的に感じていませんか?もしかすると、それは体質のせいではなく、“貧血”と“冷え性”が関係しているサインかもしれません。実際、冷え性に悩む方の多くが、知らず知らずのうちに貧血予備軍になっていることもあります。
この記事では、貧血と冷え性の共通点や、なぜ女性に多く見られるのかといった背景をわかりやすく解説していきます。自分の体調を見直すヒントが見つかるはずです。
冷え性とは?西洋医学と東洋医学のちがい
「冷え性」と「冷え症」の違い
女性の2人に1人が悩んでいるとも言われる冷え性。実は、「冷え性」と「冷え症」では意味合いが少し違います。
西洋医学での冷え性
西洋医学では冷え性は病気ではなく、体質によるものとされています。具体的には、末梢血管が収縮し、末端に届けられる血液が減ることで、手足が冷たく感じられる状態です。
東洋医学での冷え症
一方、東洋医学では「冷え」は体の不調のサインと捉えられており、「冷え症」と表記されます。体のエネルギーや血の巡りが滞っている状態とされ、より根本的な体質の乱れとして扱われるのが特徴です。
広辞苑では「冷え性(ひえしょう)」として、「冷えやすい体質。血液の循環が良くない体」と定義されており、西洋医学的な視点が強く反映されています。この記事では一般的な意味合いで「冷え性」と表記し、貧血との関係をみていきます。
貧血とは?鉄分不足が体にもたらす影響
酸素が足りず、さまざまな不調に
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンの濃度が基準値より低下した状態です。ヘモグロビンは酸素を運ぶ働きを担っているため、貧血になると全身の臓器や細胞が酸欠状態になり、さまざまな不調を招きます。

女性のほとんどは鉄分不足
特に女性は、生理による出血や妊娠・出産、ダイエットなどの理由により、鉄分を失いやすくなっています。そのため、女性のほとんどは何らかの形で鉄分不足に陥っているとされています。
血液検査で異常が見つからなくても、「貯蔵鉄(フェリチン)」が不足しているケースもあり、これを“隠れ貧血”と呼びます。実際、日本人女性の多くがこの予備群に該当するとされています。

冷え性と貧血が女性に多いのはなぜ?
鉄分不足になる機会が多い
以下の3つの要因により、女性は男性よりも鉄不足に陥りやすい傾向があります。
- 生理による定期的な出血
- 妊娠・出産による鉄の大量消費
- 食事制限などによる栄養摂取不足
これらの積み重ねにより、貧血だけでなく冷え性にもつながりやすくなります。
自律神経が乱れやすい体質
女性は男性に比べて筋肉量が少なく、熱を生み出す力も弱めです。脂肪が多く体温をためこみやすい一方で、温まりにくいという特徴もあります。さらに、ホルモンの変動によって自律神経が乱れやすく、それが血流低下を引き起こし、冷え性につながっているのです。
自律神経と体温の調節メカニズム
自律神経が体温をコントロールしている
私たちの体温は、自律神経の働きによってコントロールされています。寒いときには血管が収縮して熱を逃さないようにし、暑いときには血管が広がって熱を放出します。
ストレスやホルモンバランスの乱れによってこの調節がうまくいかなくなると、冷えやのぼせといった症状が現れやすくなります。
冷え性と貧血に共通する“鉄分不足”
冷え性と貧血は、一見別のものに見えて、実は根本に「鉄分不足」という共通の原因があります。
貧血はもちろん鉄分が足りない状態で起こりますが、冷え性も、鉄不足による自律神経の乱れや血行不良が関係していることがあるのです。
そのため、冷え性の方のなかには、知らないうちに貧血予備軍になっているケースも少なくありません。
まとめ:貧血と冷え性の関係
貧血と冷え性は、どちらも女性に多く見られる症状であり、共通して「鉄分不足」「ホルモンの影響」「自律神経の乱れ」が関係しています。
疲れやすい、手足が冷える、といった小さなサインも、放っておくと体の不調につながるかもしれません。
「ちょっと最近調子が悪いな」と感じたら、一度、生活を見直してみてくださいね。

