急に立ち上がったとき、「ふわっ」と視界が暗くなったことはありませんか?
もしかしたら、それは「脳貧血」のサインかもしれません。
名前が似ているため、「貧血」と混同されやすいですが、実はまったく違う仕組みで起こるものなんです。
この記事では、脳貧血と貧血の違いをわかりやすく整理しながら、脳貧血の原因や日常でできる対策について解説していきます。めまいや立ちくらみが気になる方は、ご自身の状態を見直すきっかけになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。
脳貧血とは?貧血との違い
「脳貧血」と「貧血」はどちらも“酸素が足りない”状態で起こる症状ですが、その原因はまったく違います。
脳貧血って?
脳貧血は、一時的に血圧が下がってしまい、脳に十分な血液と酸素が届かなくなる状態です。立ちくらみやめまい、ひどいときは意識を失うこともあります。
貧血って?
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足することで、体全体に酸素が行き渡りにくくなる状態です。症状はゆっくり進むことが多く、気づきにくいこともあります。
簡単に言うと、「脳貧血=血の流れの問題」、「貧血=血の中身の問題」というイメージです。
脳貧血が起こる代表的なケース
こんな場面で「クラッ」ときたことはありませんか?
- 急に立ち上がったとき(起立性低血圧)
- 朝礼や電車など、長く立ちっぱなしでいたとき
- 痛みや緊張、採血などの刺激を受けたとき
- 飲みの席でトイレに立ったとき
一時的なものであれば安静にすれば回復することが多いですが、繰り返す場合は一度病院で相談してみるのがおすすめです。
脳貧血の主な症状一覧
脳貧血では、以下のような症状がみられます。
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛・寒気
- 吐き気・耳鳴り
- 冷や汗・顔が青白くなる
- 手足が冷たくなる
- 寝起きが悪い・乗り物酔いしやすい
- 一時的な意識の喪失(失神)やけいれん
突然症状が出るのが特徴的で、これが貧血との大きな違いです。
脳貧血の原因を体系的に理解しよう
脳貧血を防ぐには、「なぜ血圧が急に下がるのか」を知っておくことが大切です。血圧は、自律神経やホルモン、水分量、筋肉の働き、精神的な影響など、多くの要素に左右されます。
血圧は、腎臓や神経(中枢神経や自律神経)、内分泌系(腎臓や副腎などのホルモン)、血管内皮細胞からの血管収縮、もしくは拡張を進める物質など、多くの因子によって調節されています。
ここでは、脳貧血の原因を「体の中の調整機能」と「生活習慣や外的な影響」の2つに分けて解説します。
体内調節に関わる主な原因
自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足、鉄分不足などが続くと、自律神経のバランスが崩れて血圧が不安定になります。とくにストレスが大きいと、反動で急に血圧が下がることがあります。
ホルモンバランスの変化
月経や更年期、妊娠など、女性はホルモンの変動が多く、それが自律神経にも影響して脳貧血が起こりやすくなります。
成長期の影響
思春期は心も体も変化が大きい時期。自律神経やホルモンが安定しにくく、筋力も未熟なため、血圧が不安定になりやすいです。
持病や薬の影響
糖尿病や肝臓の病気、副腎の疾患などがあると、血圧のコントロールが難しくなることがあります。また、一部の薬(精神安定剤や降圧剤など)も影響することがあります。
生活習慣や外的要因による原因
脱水・水分不足
汗をかいた後や飲酒のあと、カフェイン飲料を多くとったときなどは、体の水分が不足しやすく、血圧が急に下がることがあります。
低血圧体質
もともと血圧が低い人は、朝や立ち上がったときにふらつきやすくなります。適度な運動やバランスの良い食事が予防に役立ちます。
飲酒の影響
お酒を飲むと血管が広がり、一時的に血圧が下がります。利尿作用で脱水も進むため、飲酒後はふらつきやすくなります。
脳貧血を引き起こしやすい人の特徴
こんな方は、脳貧血が起こりやすい傾向があります。
- 女性(思春期・妊娠期・更年期など)
- 成長期の子ども
- もともと低血圧の方
- ストレスや睡眠不足が多い方
- 朝食を抜くなど食生活が偏っている方
- 運動不足・不規則な生活をしている方
- 飲酒後にふらつくことがある方
当てはまるものがある方は、ちょっとした生活の工夫で予防できるかもしれません。
まとめ:症状を理解して、できることから対策を
脳貧血は、血圧が一時的に下がることで脳に十分な酸素が届かず、めまいやふらつきなどの症状が出る状態です。
自律神経の乱れやホルモン変化、水分不足、飲酒など、さまざまなことが原因になります。まずは日々の生活を見直して、原因になりそうな要素がないかチェックしてみましょう。
症状が頻繁にある場合は、自己判断せず、医療機関で相談することも大切です。
水分補給、しっかり朝ごはんをとる、ストレスをためない──そんな日常の積み重ねが、脳貧血の予防や改善につながっていきます。
毎日を安心して過ごすために、今日からできることを少しずつ取り入れてみてくださいね。
参考書籍
- 『貧血と低血圧を改善する食事と生活』監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子
- 『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』藤川徳美著 光文社新書
- 『血圧の話』国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス