「貧血にはひじきが良い」──そんなふうに思っていませんか?
以前は“鉄分たっぷりの食材”として知られていたひじきですが、現在では貧血対策としてはおすすめできない理由がいくつもあります。
この記事では、ひじきが鉄分補給に向かない3つの根拠と、じゃあ「何を食べればいいの?」という疑問にこたえる、おすすめの鉄分食材リストもご紹介します。
読み終える頃には、よくある誤解をすっきり解消でき、貧血対策を正しく見直すきっかけになるはずです。
ひじきは鉄分豊富?その認識はもう古い
「鉄分が多い食材といえばひじき」というイメージは、今では昔の話になりつつあります。
実際に、文部科学省の食品成分表では、干しひじきの鉄分量が以前の10分の1にまで減少。調理器具や加工方法の変化により、現在販売されているひじきは、かつてのような“鉄分の王様”ではないのです。
なぜ今も「貧血にひじき」と言われがちなのか、その根拠を掘り下げていきましょう。
ひじきが貧血対策に向かない3つの理由
1. 昔より鉄分が大幅に減っている
2010年のデータでは、干しひじき100gあたりの鉄分は55.0mgありましたが、2015年には6.2mgに。ステンレス製の釜を使うようになった影響が大きいとされています。
鉄釜で調理すれば鉄分は高くなりますが、市販の製品がどんな工程で作られているかはわかりません。
つまり、昔のイメージのまま「ひじき=鉄分豊富」と思っていると、実はあまり鉄が摂れていないこともあります。
2. 吸収されにくい非ヘム鉄が中心
ひじきに含まれている鉄分は「非ヘム鉄」という種類であり、これは吸収率が低いことで知られています。
ひじきに含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれるタイプで、体に吸収されにくいのが難点です。
さらに、ひじきには食物繊維が豊富に含まれており、その食物繊維が鉄の吸収を妨げることも。100gあたり52.0gという食物繊維量はかなり高く、鉄分が豊富だとしても、体内にうまく取り込めないのです。
3. 無機ヒ素という有害成分を含む
ひじきには「無機ヒ素」と呼ばれる有害物質が含まれています。
この物質は発がん性が懸念されており、イギリスでは摂取を控えるよう国民に勧告されているほどです。農林水産省のデータによると、乾燥ひじきを水で戻すことで約50%、ゆで戻しで約80%のヒ素が減少するものの、完全に除去することはできません。
とくに妊娠中や授乳中の方は、胎児や乳児への影響を考慮して避けるべき食品とされています。
では、何を食べればいいの?貧血対策におすすめの食材
ひじきの代わりに鉄分を補いたいなら、以下のような食材を意識してみてください。
- 小松菜やほうれん草などの葉物野菜(ビタミンCと一緒に摂ると吸収率UP)
- 赤身の肉や魚(牛・マグロ・カツオなど)(吸収されやすい“ヘム鉄”が豊富)
- 大豆製品や豆類(鉄分+良質なタンパク質も)
- 鉄強化シリアルや飲料(効率よく補給できる)
また、ビタミンCを含む食材(オレンジ・パプリカ・いちご・キウイなど)を一緒に摂ると、鉄の吸収を助けてくれます。

まとめ:正しい知識で、もっと効果的な鉄分補給を
かつては「貧血にはひじき」が常識のように語られていましたが、今ではその情報はアップデートが必要です。
ひじきが貧血対策に向かない理由は、
- 昔より鉄分が少ない
- 吸収されにくい非ヘム鉄中心
- 無機ヒ素という健康リスクがある
このような理由から、ひじきは鉄分補給におすすめできる食材とは言えません。
代わりに、より吸収率の高い鉄分を含む食品を日々の食事に取り入れ、効率的な対策を心がけましょう。

