「最近、ちょっとしたことでイライラする」「気分の浮き沈みが激しくて疲れる」――そんなふうに感じることはありませんか?
実はその原因、ストレスだけでなく“鉄分不足”が関係している可能性があります。
鉄分は酸素の運搬に加え、心のバランスを整える神経伝達物質の生成にも深く関わっており、心身の健康を支える重要な栄養素です。
この記事では、鉄分不足による精神的・身体的な影響や、日常生活に取り入れやすい改善法をわかりやすくご紹介します。読み終わったあとには、不調の原因に気づくきっかけが得られるかもしれません。
鉄分不足でなぜイライラするの?
「「なんとなくイライラする」「気分が不安定で落ち込みやすい」と感じる背景には、鉄分不足が関係していることがあります。
鉄は、酸素を運ぶヘモグロビンの材料として知られていますが、それだけではありません。心のバランスを整える神経伝達物質の生成にも欠かせない栄養素です。
そのため、鉄分が不足すると脳の働きが低下し、イライラ、不眠、やる気の低下といった心の不調が起こりやすくなります。
神経伝達物質と鉄分の密接な関係
セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンの働き
鉄は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の生成に欠かせない栄養素です。
- セロトニン:心を安定させる
- ドーパミン:快楽や意欲をもたらす
- ノルアドレナリン:集中力や覚醒状態に関わる
これらの分泌が滞ると、気分の乱れや依存傾向、不安感などの症状が現れやすくなります。
さらに、鉄は神経伝達物質の合成に関わる酵素の働きや、脳の機能にも影響を与えることがわかっており、小児では発達障害や情緒障害、成人では慢性的な疲労感やむずむず脚症候群なども報告されています(引用:四国医誌 68巻1,2号)。

鉄分不足による精神的なサインとは
鉄分不足は以下のような症状を引き起こすことがあります。
精神的な症状
- イライラしやすい、怒りっぽくなる
- 集中力低下
- 不安感、抑うつ気分
- 睡眠の質の低下
- やる気が出ない
- ギャンブルやSNSなどへの依存傾向
隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)に要注意
貧血と診断される前の段階でも、体内に蓄えられている鉄(フェリチン)が不足すると、不調が現れることがあります。これが、いわゆる“隠れ貧血”です。

酸欠によって起こる身体の不調とは
鉄分が不足すると、ヘモグロビンの量も減少し、酸素が全身に十分行き渡らなくなります。その結果、以下のような不調が現れることがあります。
酸欠がもたらす主な影響
- 脳:頭痛、めまい、集中力の低下
- 心臓:動悸、息切れ
- 筋肉:倦怠感、疲れやすさ
- 皮膚・末端:冷え、くすみ、シミ
「なんとなく体がだるい」と感じるときも、酸素不足が関係しているかもしれません。
鉄分不足の進行ステップを知っておこう
- 鉄分摂取量が不足する
- 貯蔵鉄(フェリチン)を使い始める
- フェリチンが枯渇する(潜在性鉄欠乏症)
- ヘモグロビンが低下し、明確な貧血状態へ
このように、貧血は鉄不足の最終段階です。体調の変化に早めに気づき、フェリチン値の低下を見逃さないことが大切です。
鉄分不足の状態を把握する方法
体内の鉄の蓄積状況を把握するには、「血清フェリチン」の測定が有効です。
ただし、一般的な健康診断には含まれていないため、希望する場合は検査時に医師へ申し出る必要があります

食事からの鉄分補給が最も大切
鉄分は基本的に食事から摂取する必要があります。以下のような食品が効果的です。
- 赤身の肉・レバー
- あさり・しじみ
- 小松菜・ほうれん草
- 大豆製品
- ひじき など
また、ビタミンCと一緒に摂ることで鉄の吸収率が高まります。一方で、緑茶やコーヒーに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるため、食後すぐの摂取は避けるのが理想的ですす。

まとめ|鉄分ケアが心を整える第一歩
鉄分不足は、体だけでなく心の不調にもつながります。特に女性は、月経や食生活の影響で不足しやすく、イライラや不安感があっても原因に気づかないことが少なくありません。
「最近、気分が安定しない」と感じる方は、まず鉄分の状態を見直してみましょう。心と体のバランスを整える第一歩として、日々の食事からできるケアを始めてみてください。

