よく耳にする“貧血”という言葉。ですが、実は「脳貧血」と「医学的な貧血」はまったく異なる症状であることをご存じでしょうか?
本記事では、「貧血とは何か?」という基本から、その原因・症状・タイプ別の特徴、さらには日常で実践できる具体的な対策まで、わかりやすく解説していきます。
最後までお読みいただくことで、自分に合った対策方法が見つかり、日々の体調管理にも役立つヒントが得られるはずです。
貧血とは?医学的に正しい定義を解説
「貧血」とは、血液中の赤血球またはヘモグロビン濃度が基準値を下回っている状態を指します。
いわば“血液が薄くなっている”状態で、体全体に酸素が行き届かなくなることで、さまざまな不調を引き起こします。赤血球は骨髄で作られ、酸素を全身に運ぶ重要な役割を担っています。これが減少すると、酸素が十分に供給されず、疲労感・めまい・倦怠感といった症状が現れるのです。

「クラっときた」は“脳貧血”で鉄分不足の貧血とはちがう
「朝礼で倒れた」「立っていたら目の前が暗くなった」――こうした場面でよく使われる“貧血”は、医学的には「脳貧血」と呼ばれる一過性の脳虚血です。
脳貧血は、脳への一時的な血流低下により意識が遠のく症状であり、赤血球やヘモグロビンの不足とは無関係です。
誤解されやすい用語の違いを正しく理解することで、必要な対策も見えてきます。


貧血の主な症状とその仕組み
赤血球の減少による影響
赤血球が減ることで、体に酸素を届ける能力が低下します。
これにより、顔色が青白くなる/息切れ/倦怠感/動悸などの症状が現れます。
酸素不足による症状
脳や筋肉への酸素供給が不足すると、頭痛・めまい・集中力の低下・冷えなどが引き起こされます。
心臓への負担
酸素不足を補うために心臓が血液を多く送り出そうとし、心拍数が上がり動悸や息切れが目立つようになります。
貧血の原因は大きく3つに分かれる
赤血球がつくられにくくなる原因
最も多いのは「鉄欠乏性貧血」で、鉄・ビタミンB12・葉酸などの材料が不足することが原因です。
詳しくはこちら:

他にも、骨髄の造血機能に異常がある「再生不良性貧血」や、「骨髄異形成症候群(MDS)」も該当します。


赤血球が壊れやすくなる原因
赤血球が本来の寿命(約120日)よりも早く壊れてしまう「溶血性貧血」がこれにあたります。
黄疸が出る場合もあり、先天性・後天性の両方のケースがあります。

他の病気による影響(続発性貧血)
慢性腎疾患などにより、赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)が減少し、貧血を引き起こすことがあります。これを「腎性貧血」といいます。

出血が引き起こす貧血のリスクとは?
急激な出血だけでなく、少量でも長期間続く出血は、鉄分の慢性的な喪失につながります。これが「鉄欠乏性貧血」の主な原因となります。
特に女性は月経や婦人科疾患などによる出血リスクが高いため、日常的な体調変化を見逃さないことが重要です。
無自覚のまま進行し、健康診断で初めて気づくケースも少なくありません。
まとめ:貧血に早めに気づき、体調を整えよう
「貧血=立ちくらみ」というイメージは一部に過ぎません。
貧血は血液の機能が損なわれる症状であり、原因・種類は多岐にわたります。
症状が軽くても放置すれば、慢性化して日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
まずは自分がどのタイプの貧血にあたるかを理解し、適切な対策をとることが大切です。
- 食生活の見直し
- 適度な休養
- 必要に応じた医療機関の受診
これらを意識することで、貧血は改善・予防が可能です。

このように、正しい知識と早めの対応によって、貧血は十分に改善できる不調です。「これくらい大丈夫」と思わずに、まずは体からのサインにしっかり耳を傾けていきましょう。