「最近、めまいや疲れやすさを感じる」「立ちくらみが増えてきた気がする」――そんな体の不調、もしかすると“貧血”が原因かもしれません。
日本では、貧血に関する情報や理解がまだ十分に広まっておらず、深刻な症状が出るまで気づかないケースも少なくありません。
一方、世界の多くの国では、貧血対策が国を挙げて進められており、日本はその点で大きく遅れているのが現状です。
本記事では、貧血に関する基本的な知識をはじめ、世界と日本における貧血の割合、各国の取り組み、日本の課題、そして私たち一人ひとりが今すぐできる対策まで、わかりやすくご紹介していきます。
貧血とは?今さら聞けない基本情報
鉄欠乏性貧血が最も多い
貧血にはさまざまな種類がありますが、日本で最も多く見られるのは「鉄欠乏性貧血」です。
その名の通り、体内の鉄分が不足することで血液中のヘモグロビンが減少し、酸素を十分に運べなくなる状態を指します。
鉄分の重要性
鉄分は、酸素を体のすみずみに届けるために不可欠な栄養素です。
不足すると、慢性的な疲労感、めまい、集中力の低下など、日常生活に大きな影響を与えます。
なぜ日本で貧血が深刻なのか?
G7で最も高い妊婦の貧血率
日本の妊婦における貧血率は、G7(主要先進7カ国)の中で最も高く、31.0%と報告されています。
アメリカ(16.6%)、イギリス(22.8%)と比べても、非常に高い水準です。
意識の低さと対策の遅れ
日本では、鉄分摂取の重要性に対する認識が十分に広がっておらず、食生活の変化やダイエット志向も影響して、鉄分不足が進みやすい状況にあります。
さらに、鉄強化食品やサプリメントの普及率も2〜3%程度にとどまっており、国としての対策も限定的です。
世界の貧血事情:先進国・新興国・発展途上国の比較
先進国の妊婦における貧血率
- アメリカ:16.6%
- イギリス・カナダ:22.8%
- ドイツ:24.4%
- イタリア:26.1%
- 日本:31.0%
新興国では経済格差が影響
BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の貧血率を見ると、経済格差や文化的背景が影響していることがわかります。特にインドは53.6%と非常に高い割合です。
発展途上国では栄養不足が深刻
発展途上国では、5歳未満の子どもで40〜50%、妊婦では50%以上の貧血率が報告されている国もあります。
世界と日本の貧血対策の違い
各国の主な取り組み:鉄強化食品の活用
多くの国では、以下のような食品に鉄を添加することで貧血対策を進めています。
- 小麦粉:アメリカ、カナダ、イギリスなど
- 米:フィリピン
- ナンプラー:ベトナム
- 醤油:中国
- 精製糖:グアテマラ
日本の現状
日本では、鉄強化食品の普及がほとんど進んでおらず、国の施策も限定的です。
そのため、個人レベルでの対策が必要不可欠となっています
私たちにできる貧血対策
食事で鉄分を意識する
鉄分を多く含む以下の食材を、日々の食事に積極的に取り入れましょう。
- レバー、赤身肉、あさり、いわし
- ほうれん草、ひじき、豆類

サプリメントを上手に活用する
体質や生活スタイルによっては、食事だけで補うのが難しい場合もあります。
その際はサプリメントの利用も有効です。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まるとされています。
情報収集から始める
まずは、正しい知識を身につけることが第一歩です。
以下のような信頼性の高い情報源も、ぜひ参考にしてみてください。
まとめと次に読むべき記事
日本では、貧血に対する社会的な認識の低さと、政策面での遅れが重なり、多くの人が気づかぬまま鉄分不足の状態に陥っています。
しかし、世界の先進的な取り組みから学び、一人ひとりが鉄分摂取を意識することで、貧血は十分に予防・改善が可能です。


あなたや大切な人の体調不良が「貧血」から来ているとしたら――
今こそ、自分の体としっかり向き合ってみてはいかがでしょうか。