「急に立ち上がったら、クラッとめまいがして怖かった…」そんな経験はありませんか?
もしかすると、それは「起立性低血圧」という一時的な脳貧血が原因かもしれません。悪化すると、めまいや頭痛だけでなく、失神を引き起こすこともあるため、正しい知識と対処法を知っておくことがとても大切です。
この記事では、起立性低血圧が起こりやすいタイミングや、いざというときの対処法をわかりやすくご紹介します。
読み終わるころには、もしものときも落ち着いて行動できる安心感が得られるはずです。
頭痛やめまいが起きたときの基本的な対処法
どんなに気をつけていても、起立性低血圧による脳貧血の症状を100%防ぐのは、なかなか難しいもの。だからこそ、実際に症状が出たときに「どう行動するか」を知っておくことがとても大切です。
とにかく、頭を低くすることがポイント
基本的な対処法は、とてもシンプル。
「頭の位置をできるだけ低く保つ」ことが大切です。
もし症状を感じたら、できるだけ早く横になるのが理想的。難しい場合は、その場にしゃがみ込んだり、膝をついたりして、頭が心臓よりも下になる姿勢をとりましょう。
転倒によるケガや骨折を防ぐためにも、無理をして立ち続けようとせず、少しでも異変を感じたら我慢せずに行動することが大切です。
起立性低血圧が起こりやすい6つの状況
起立性低血圧は、じつはある程度「起こりやすいタイミング」が決まっています。
あらかじめ知っておくことで、リスクを減らすことができますよ。
ここでは、特に注意しておきたい6つのシーンをご紹介します。
- 急に立ち上がったとき
- お風呂から出るとき
- 食後
- 朝の起き抜け
- お酒を飲んだあと
- 排泄のとき
どれも日常の中でよくある場面だからこそ、気をつけたいポイントです。
次の章では、それぞれのシーンでどう対策すればいいのか、具体的にご紹介していきます。
状況別・起立性低血圧の対策
起立性低血圧は、ちょっとした工夫や意識で予防や軽減が可能です。
ここでは、よくあるシーン別に具体的な対処法をご紹介します。
立ち上がるときの対処法
- 急に立ち上がらず、「座る→立つ」と段階を踏みましょう
- 長時間座っていた場合は、立ち上がる前に軽く脚を動かして血流を促します
- ふくらはぎを意識的に動かすのも◎。第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉が血流をサポートしてくれます
- 弾性ストッキングや軽い脚の圧迫も予防に役立ちます
お風呂から出るときの対処法
- 浴室と脱衣所の温度差を減らすよう工夫しましょう(特に冬場)
- 浴槽から出るときは、いきなり立ち上がらず、一度腰を掛けてからゆっくりと
- 全身浴ではなく半身浴に切り替えると水圧による負担が軽減されます
- 足湯と冷水を交互に行う足湯交代浴(水1分+お湯4分×4セット)は、自律神経のトレーニングにもおすすめです
食後の対処法
- 食後すぐの運動や急な立ち上がりは避けましょう
- 適量のカフェイン(コーヒーやお茶)をとることで、血圧を保つ効果が期待できます
朝の起き抜け時の対処法
- 起床時は「横になる→座る→立つ」と、ゆっくり動くのがポイント
- 前夜から枕を少し高めにしておくと、朝のめまいが起きにくくなります
- 朝のスケジュールには余裕を持たせることも大切。慌てて動かないようにしましょう
お酒を飲んだ時の対処法
- 同じ姿勢で長時間座りっぱなしにならないよう注意を
- 顔色が青白くなったら、血圧が下がっているサインかも。無理せず、ゆっくりと動きましょう
- トイレなどで立ち上がるときも、できるだけ慎重に
排泄時の対処法
- 日頃から水分や食物繊維をしっかりとることで、いきみを減らしましょう
- 便秘がちな方がサプリや浣腸を使う際は、急激な排便による血圧の変化に注意が必要です
- 病院で浣腸を受けるときは、「貧血を起こしやすい」と事前に伝えておくと安心です
さいごに
今回は、起立性低血圧によって「立ち上がったときにめまいが起きる」原因や、日常でできる対処法についてご紹介しました。
どれも今日からすぐに実践できる内容ばかりですので、ぜひ無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。
さらに詳しく知りたい方や、根本的な予防法を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。



不安を感じやすい場面でも、自分の身体に自信が持てるよう、少しずつ知識と対策を身につけていきましょう。
※参考文献:
- 「冷え症者への足部交代浴の有効性の検討」日本看護研究学会雑誌 32巻3号
- 「下肢弾性ストッキング強度が起立時の血行動態に及ぼす影響」第51回近畿理学療法学術大会書誌