「最近なんだか体が重い…」「朝からやる気が出ない…」そんな体調の変化を、年齢や疲れのせいにしていませんか?
実はその不調、“鉄分不足”が関係しているかもしれません。
鉄分は、体内で毎日少しずつ失われる栄養素。とくに女性は月経の影響もあり、知らず知らずのうちに鉄が不足しやすい傾向にあります。
この記事では、鉄分が毎日失われる仕組みや、不足しやすい理由、そして効率的な補給方法までを、厚生労働省のデータをもとにわかりやすく解説します。
読み終えたときには、鉄分補給を“習慣”にすることの大切さがきっと実感できるでしょう。
鉄分はなぜ毎日必要なの?
鉄分は、血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の材料です。つまり、鉄が足りないと、全身に酸素が届きにくくなり、疲れやすさや集中力の低下といった症状が出やすくなります。
そして、鉄分は体内で自然に作ることができず、日々の食事から摂るしかありません。しかも、毎日わずかずつでも確実に失われていく栄養素なのです。
鉄分が失われる仕組みとは?
大人の体には、約3~5gの鉄分が存在しており、そのうち7割がヘモグロビンなどに、残りは肝臓や骨髄に「貯蔵鉄」として蓄えられています。
ですが、赤血球には寿命があり、約120日ごとに入れ替わります。その過程で鉄分が必要となり、汗・尿・便などを通して毎日1mg程度失われているのです。
「たった1mg?」と思うかもしれませんが、実はこれを補うのは意外と大変です。
なぜ鉄分が不足してしまうのか
日本人女性の約80%が鉄分不足であるといわれている背景には、いくつかの原因があります。
鉄は吸収率が低い栄養素
食べ物に含まれる鉄はすべて吸収されるわけではありません。一般的な吸収率はわずか10%前後。つまり、10mg摂っても体に入るのは約1mgほどです。
鉄には2種類あり、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」は吸収率が比較的高く、野菜や豆類などに含まれる「非ヘム鉄」は吸収されにくい特徴もあるため、食材の選び方にも注意が必要です。
女性は月経でさらに失いやすい
月経のある女性は、出血によってさらに1日あたり0.5~1mgの鉄が失われると言われています。そのため、厚生労働省の推奨摂取量は以下の通りです。
- 男性:7.5mg
- 月経のある女性:11.0mg
- 月経のない女性:6.5mg
私たちの食生活で実際にとれている鉄分
では、私たちは日々の食事でどのくらいの鉄分をとれているのでしょうか?
厚生労働省の平成27年国民栄養調査によると、20~49歳女性の平均摂取量は7.0mg程度。推奨量である11mgに比べて4mgも不足していることが分かります。
この差は、日々コツコツと鉄分を意識してとらない限り、簡単には埋まらないのです。
鉄分不足の初期症状とは?
鉄分が不足しても、すぐに貧血の症状が出るわけではありません。
なぜなら、体内には「貯蔵鉄(フェリチン)」があり、不足時にはここから鉄分を切り崩して補うからです。
しかし、この貯蔵鉄が尽きてしまうと、ヘモグロビンの量が下がり、本格的な「鉄欠乏性貧血」となります。
以下のような症状がある方は、すでに“隠れ貧血”の状態かもしれません。
- 疲れやすい
- 朝からだるい
- 集中力が続かない
- イライラしやすい
- 肌にハリがない、顔色が悪い
さらに鉄分不足は、エネルギー代謝やコラーゲンの生成にも影響し、見た目の老化や免疫力低下にもつながるのです。
鉄分を毎日とるべき理由と対策
鉄分は日々失われるからこそ、毎日補う意識が必要です。ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がアップするので、食べ合わせにも工夫をしましょう。
鉄を効率よくとるポイント
- ヘム鉄を含む食材を積極的に:
レバー、赤身肉、かつお、いわし など - 非ヘム鉄と一緒にビタミンCを:
小松菜×レモン、ひじき×ピーマンなどの組み合わせで吸収率UP - 鉄サプリや強化食品も選択肢に:
食事だけで不足する場合は、医師や薬剤師に相談の上、サプリの活用も◎


まとめ
鉄分は体の中で“失われる一方”の栄養素。しかも吸収されにくいため、意識して摂らないと、すぐに不足してしまいます。特に女性は月経などで多くの鉄を失いやすく、疲れやすさ・肌の不調・気分の落ち込みなど、さまざまな影響が出ることもあります。
でも、逆に言えば、毎日の食事で少しずつ鉄分を意識すれば、体はしっかり応えてくれるということ。
まずは1日1品、鉄分の多い食材を意識して取り入れてみてください。
そして、どんな食品にどれくらい鉄が含まれているのかを確認したい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
