「最近の健康診断でヘモグロビン値が低いと言われたけど、どうすればいいかわからない」──そんな不安を感じていませんか?
ヘモグロビン値は、貧血を診断する上で最も重要な指標です。そして、その数値によって健康リスクは大きく変わります。
この記事では、ヘモグロビンの基礎知識から血液検査結果の読み解き方、貧血の度合いや具体的な対策まで、わかりやすく解説していきます。
この記事を読み終えたときには、ヘモグロビン値について理解し、必要な対策ができるようになるでしょう。
ヘモグロビンの基準値と貧血の度合い
ヘモグロビン値の基準は、年齢や性別によって異なります。
以下は世界保健機関(WHO)が定める基準です。
男女6カ月~14.99歳までの基準値
- 6カ月~4.99歳:11.0g/dl未満
- 5歳~11.99歳:11.5g/dl未満
- 12歳~14.99歳:12.0g/dl未満
女性15歳以上の基準値
- 妊娠していない場合:12.0g/dl未満
- 妊娠中の場合:11.0g/dl未満
男性15歳以上の基準値
- 13.0g/dl未満
たとえば、35歳女性の場合、ヘモグロビン値が12.0g/dlを下回ると貧血と診断される目安になります。

血液検査でのヘモグロビンの表記
健康診断の血液検査では、ヘモグロビンは主に以下の表記で記載されています。
- Hb
- HGB
- 血色素量
数値を正しく理解するためにも、まずヘモグロビンの役割を押さえておきましょう。
ヘモグロビンとは?
この章では、ヘモグロビンがどのような役割を持ち、なぜ健康維持に不可欠な存在であるのかについて、全体像を押さえながら解説していきます。
ヘモグロビンは、赤血球の中にあるタンパク質で、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。
血液は「血漿(けっしょう)」と「血球(けっきゅう)」から成り立ち、その血球の大部分が赤血球であり、その内部にヘモグロビンが存在しています。
血が赤い理由とヘモグロビンの役割
人間の血液が赤い理由は、ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素と結びつき、酸化することで赤く見えるためです。
この仕組みによって、ヘモグロビンは体中に酸素を送り届けています。この仕組みが、私たちの生命を支えているのです。
貧血とは?その種類と原因
貧血とは、血液中のヘモグロビン量が基準値を下回った状態を指します。
原因によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ対処法が異なります。
主な貧血の種類
- 鉄欠乏性貧血(最も多い)
ヘモグロビンの材料である鉄分が不足することで起こる貧血です。女性の場合は、生理や妊娠・授乳によって鉄分を失いやすく、特に注意が必要です。食事やサプリメント、鉄剤による補給で改善が期待できます。 - 巨赤芽球性貧血(ビタミンB12・葉酸不足)
ビタミンB12や葉酸の不足によって、赤血球が正常に作られずに壊れてしまう貧血です。胃や腸の手術歴がある人や、アルコール依存症の方に多く見られます。食事管理やビタミン補充治療が必要です。 - 再生不良性貧血(骨髄異常)
骨髄の機能障害により、赤血球をはじめとする血液成分が十分に作られなくなる病気です。感染症や出血リスクも高まり、重症化するケースもあります。多くは原因不明であり、厚生労働省の難病指定疾患の一つです。 - 溶血性貧血(赤血球の破壊)
赤血球の寿命が短くなり、通常よりも早く壊されてしまうことで起こる貧血です。皮膚が黄色くなる黄疸や、尿の色の変化などが現れることもあります。原因に応じた治療(薬物療法など)が必要になります。
それぞれの貧血について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
貧血の主な症状とは
ヘモグロビンが不足すると、全身に酸素が行き渡らなくなり、次のような症状が現れます。
- 動悸・息切れ
- 疲れやすい・倦怠感
- 集中力の低下
- めまい・立ちくらみ
- 顔色の悪さ(蒼白・黄みがかる)
酸素不足は、体だけでなく心にも影響を与えることがあるため、放置は禁物です。
ヘモグロビン数値が高い場合のリスク
ヘモグロビン値が高すぎると、血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。
その結果、動脈硬化や脳梗塞などのリスクが高まる可能性があります。
主な原因
- 多血症
- 脱水症状
- 喫煙
- 強いストレス
とくに「多血症」は医師の指導による治療が必要です。喫煙や脱水が原因であれば、生活改善でリスクを下げられるでしょう。
ヘモグロビンの数値別:貧血の度合いと対処法
- ヘモグロビン11~10g/dl:軽度の貧血
疲れやすさや眠気など、日常生活での軽い不調が現れることがあります。この段階では、食生活の改善で十分に対処できるでしょう。まずは鉄分が多い食べ物の選び方ガイドを参考に、毎日の食事を見直してみましょう。 - ヘモグロビン9~7g/dl:中等度の貧血
動悸や息切れなどの症状が顕著になり、医療機関での治療が必要となるレベルです。早めに内科や血液内科を受診し、適切な治療を始めることが必要です。 - ヘモグロビン6g/dl以下:重度の貧血
輸血や点滴など、の緊急対応が必要な状態。放置すると生命に関わる危険性もあるため、救急外来などを利用して直ちに治療を受けてください。
まとめ
ヘモグロビンは、体に酸素を届ける非常に大切な役割を果たしています。数値が低すぎても高すぎても健康リスクが高まるため、定期的な血液検査でのチェックがとても重要です。
軽度の貧血なら食事の改善で十分対応できますが、中等度以上の場合は早めの受診が必要です。
まずは現在の食生活を見直し、鉄分やビタミンB群を意識的に摂ることから始めましょう。そして、定期的な血液検査を受け、数値の変化をチェックしながら必要に応じて専門医の診断を仰ぐ──これが理想的なステップです。
健康的な毎日を過ごすために、まずは自分の体と向き合うところから始めましょう!


