「最近、なんだか疲れやすい」「立ちくらみが増えた気がする」――そんな体調の変化を感じたことはありませんか?
もしかすると、それは鉄分不足が原因かもしれません。
特に女性は、鉄欠乏性貧血になりやすいといわれています。
この記事では、鉄欠乏性貧血の原因や症状に加え、治療法や予防策まで詳しくご紹介します。
自分の体調に気づき、今日からできる対策を見つけるヒントになれば嬉しいです。
鉄欠乏性貧血は放置すると、重篤な病気のサインになることもあります。
ぜひ、ご自身の症状と照らし合わせながら、最後までお読みください。
鉄欠乏性貧血とは?
私たちの体は、エネルギーを生み出すために酸素を必要としています。
その酸素を運ぶ役割を担うのが、赤血球の中にある鉄とたんぱく質から作られている「ヘモグロビン」です。
体内に蓄えられている鉄が不足すると、ヘモグロビンの量が減少し、酸素を十分に運べなくなり、この状態を「鉄欠乏性貧血」と呼びます。
鉄欠乏性貧血の原因
鉄欠乏性貧血の大きな原因は、体に取り込まれる鉄分が不足すること。
食事からの摂取量が少なかったり、出血によって鉄分が失われることが背景にあります。
鉄分不足が起こる主な5つの原因
月経過多
月経による出血が多いと、体外へ排出される鉄分も増加します。
通常、生理の出血量は20〜140mlとされていますが、これを超える場合は医療機関での診察をおすすめします。
消化管出血
痔やポリープ、胃や大腸のがんによる小さな出血でも、気づかないうちに鉄分が失われていきます。
特に男性や閉経後の女性では、このタイプの貧血がよく見られます。
授乳期・小児期・成長期
成長期や授乳期には、体が通常より多くの鉄を必要とします。
この時期に十分な鉄分を摂取できないと、簡単に鉄不足に陥ってしまいます。
1日あたりに食事からとるべき鉄の所要量
- 1歳未満
5.0mg (男) 4.5mg (女)- 1~11歳
4.5~10.5mg (男女)- 12~17歳
9.5~11.5mg (男) 7.0~14.0mg (女)- 18~29歳
7.0mg (男) 10.5mg (女)- 30~69歳
7.5mg (男) 10.5mg (女)※月経無6.5mg
胃切除後
胃の手術を受けると、胃酸の分泌が減少し、鉄の吸収が悪くなります。
そのため、鉄欠乏性貧血にかかりやすくなるのです。
食事制限やダイエット
極端なダイエットや食事制限を行うと、鉄分の摂取量が不足し、慢性的な鉄欠乏状態に陥ることがあります。
鉄欠乏性貧血の症状
鉄欠乏性貧血が進行すると、次のような症状が現れます。
- 顔色が悪い
- めまい、立ちくらみ
- 動悸、息切れ
- 頭痛
- 疲れやすい、集中力が低下する
- 爪が割れやすくなる、スプーン状に反る
- 氷をガリガリ食べたくなる(氷食症)
これらは酸素不足や鉄不足による体からのSOSサイン。
放置せず、早めに気づくことが大切です。
鉄分が不足しやすいのは女性
男性に比べて女性は、月経や妊娠・出産によって、鉄を失いやすい体質です。
特に妊娠中は、通常時よりも約1,000mgもの鉄を必要とするため、日頃から鉄分補給を意識することが大切です。
体内の鉄はすぐにはなくならない
私たちの体内には「貯蔵鉄」と呼ばれる鉄のストックがあり、肝臓などに蓄えられています。
しかし、鉄の出入りバランスが崩れると、少しずつ貯蔵鉄が減っていき、やがて鉄欠乏性貧血を発症することになります。
貯蔵鉄の量
- 男性 1000mg
- 女性 300mg
引用:「貧血と血液の病気」浦部晶夫著 インターメディカ
鉄欠乏性貧血の治療方法
原則は鉄剤を服用すること
鉄欠乏性貧血の治療は、鉄剤(内服薬または注射薬)の使用が基本です。
ビタミンCと一緒に摂取すると、鉄の吸収がさらに高まります。

鉄剤の副作用と注意点
- 便が黒くなる
- 軽い吐き気や胃もたれ
- 便秘
副作用は数日で慣れることが多いですが、改善しない場合は医師に相談しましょう。
鉄剤の種類を変更したり、胃薬を併用することで、症状が和らぐこともあります。
まれにアレルギー反応や消化管障害が起こることもあるため、体調に変化を感じたら早めに受診してください。
食事療法による予防と改善
治療後は、食事を通じた鉄分管理がとても重要です。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、動物性食品に含まれるヘム鉄の方が吸収率が高いとされています。
普段の食事に赤身の肉や魚を取り入れることで、効率よく鉄を補うことができます。

鉄不足サイン自己チェックリスト
以下の症状に2つ以上当てはまる場合は、鉄不足の可能性があります。
- 立ちくらみやめまいを頻繁に感じる
- 朝起きても疲労感が取れない
- 爪が割れやすい、またはスプーン状に変形している
- 氷や冷たいものを無性に食べたくなる
- 動悸や息切れがする
- 顔色が悪いと言われる
- 舌や口の中が荒れやすい
気になる方は、血液検査(フェリチン測定)を受けることをおすすめします。
まとめ:鉄分不足に気づいたら早めの対策を
鉄欠乏性貧血は、特に女性に多く見られる深刻な健康問題です。
知らないうちに進行し、健康に大きな影響を及ぼすこともあります。
鉄の出入りバランスを整え、「隠れ貧血」から本格的な貧血への進行を防ぐためにも、日々の食生活を見直し、必要に応じて早めに治療を受けましょう。
少しでも症状に心当たりがある方は、今すぐ行動を起こすことをおすすめします。
