日本人女性のおよそ5人に1人が「鉄欠乏性貧血」またはその予備軍に該当すると言われています。
特に20代〜40代の女性では、自覚のない“かくれ貧血”が増えており、疲れやすさ・だるさ・立ちくらみなどの不調に悩む方も多く見られます。
その原因として、「鉄分の摂取不足」だけでなく、鉄の吸収を助けるビタミンの不足が関係しているケースも少なくありません。
本記事では、鉄分とビタミンの関係に注目し、それぞれの役割や吸収の仕組み、貧血対策に役立つ食べ合わせや食材選びのポイントを詳しく解説していきます。
鉄分には種類がある|吸収率が違うって本当?
鉄分は大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
- ヘム鉄:肉や魚などの動物性食品に含まれ、吸収率が高い(約15〜25%)
- 非ヘム鉄:野菜や穀類、豆類に含まれ、吸収率は低め(約2〜5%)
日本人の食生活では、実に約85%以上が非ヘム鉄からの摂取です。このため、非ヘム鉄の吸収率を高める工夫が、貧血予防の大きなカギとなります。

ビタミンCが鉄分の吸収を助ける理由
「鉄分を意識して摂っているのに、効果を感じにくい…」そんな方は、ビタミンCの摂取状況を見直してみましょう。
ビタミンCには、非ヘム鉄を「吸収されやすい形(2価鉄)」に変える作用があります。これは、体内の酵素反応をサポートし、鉄の吸収をスムーズにしてくれるためです。
ただし、ビタミンCは加熱や水に弱いため、調理法にも工夫が必要です。
ビタミンB群が赤血球をつくるメカニズム
赤血球を作るには、鉄分だけでなくビタミンB群も不可欠です。特に以下のビタミンは、造血に深く関わっています。
- ビタミンB12:赤血球のDNA合成を助ける
- 葉酸:細胞分裂・成長をサポート
- ビタミンB2・B6:酵素の働きを補い、赤血球の形成をサポート

妊婦さんに葉酸が必要な理由とは?
葉酸は、血液をつくる機能に加え、胎児の正常な発育にも欠かせない栄養素です。
特に妊娠初期の葉酸不足は、胎児の神経管閉鎖障害などのリスクにつながるとされており、厚生労働省も積極的な摂取を推奨しています。
葉酸は水溶性・熱に弱いため、スープや生野菜での摂取が効率的です。
ビタミン別|多く含まれる食材一覧(出典:日本食品標準成分表2015年版・七訂)
ビタミンCを多く含む食べ物
食材 | 含有量(mg/100g) |
---|---|
赤ピーマン | 170 |
ブロッコリー | 120 |
緑ピーマン | 76 |
いちご | 62 |
じゃがいも | 35(※加熱に注意) |
ビタミンB12を多く含む食べ物
食材 | 含有量(μg/100g) |
---|---|
しじみ | 68.4 |
牛レバー | 52.8 |
あさり | 52.4 |
鶏レバー | 44.4 |
葉酸を多く含む食べ物
食材 | 含有量(μg/100g) |
---|---|
枝豆 | 320 |
ほうれん草 | 210 |
ブロッコリー | 120 |
アボカド | 84 |
ビタミンB2を多く含む食べ物
食材 | 含有量(mg/100g) |
---|---|
豚レバー | 3.60 |
卵 | 0.43 |
ほうれん草 | 0.20 |
牛乳 | 0.15 |
ビタミンB6を多く含む食べ物
食材 | 含有量(mg/100g) |
---|---|
にんにく | 1.53 |
鮭 | 0.64 |
鶏むね肉 | 0.57 |
バナナ | 0.38 |

吸収を高める食べ合わせの工夫
鉄分とビタミンは、「同時に摂る」ことで吸収率がアップします。
食べ合わせの具体例
- 非ヘム鉄+ビタミンC:ほうれん草 × ピーマンやいちご、みかんなど
- 鉄分豊富な主菜+ビタミンが摂れる副菜:レバー料理 × ブロッコリー・アボカドなど
実践例:食事での組み合わせ(朝食・昼食)
食事例 | メニュー例 | 栄養のポイント |
---|---|---|
朝食 | トースト+ゆで卵+いちご+ヨーグルト | 鉄+ビタミンB群+ビタミンCの組み合わせ |
昼食 | ほうれん草の味噌汁+鶏むね肉のソテー+みかん | 非ヘム鉄+ビタミンB6+ビタミンCをカバー |
加熱で失いやすい栄養素は、生食やスープで「まるごと食べる」工夫が効果的です。
まとめ|栄養素を味方につけて貧血対策を!
貧血対策には、「鉄分を摂るだけ」では不十分です。
鉄+ビタミンの組み合わせを意識することが、吸収力を高め、赤血球をしっかりつくるポイントになります。
- ビタミンCで鉄の吸収アップ
- ビタミンB群で赤血球をサポート
- 葉酸は妊娠期に特に重要
毎日の食事に少しだけ意識をプラスして、体の中から元気をつくっていきましょう。

