「急に立ち上がったら、目の前が真っ白に…」――そんな経験、ありませんか?
それ、もしかすると「起立性低血圧」と呼ばれる一時的な脳の血流不足が原因かもしれません。
この記事では、起立性低血圧がどうして起こるのか、体の中で何が起きているのかをやさしく解説します。あわせて、ふらつきを防ぐために日常生活でできる予防法や対処法もご紹介します。
「なぜ立ち上がるとふらっとするの?」「どうすれば防げるの?」そんな疑問を感じている方に、安心と納得のヒントをお届けします。
起立性低血圧とは?まずは基本の理解から
起立性低血圧とは、座ったり寝たりした状態から立ち上がったとき、一時的に血圧が下がって脳に十分な血液が届かなくなる状態のことです。
本来であれば、自律神経がすぐに働いて血管をギュッと引き締め、血液を脳に戻す仕組みが備わっています。ところがその反応がうまくいかないと、一時的な酸素不足により、次のような症状が現れます。
- めまい
- 頭痛
- 立ちくらみ
- 目の前が真っ白になる
- 意識が遠のく、場合によっては失神することも
「貧血」と間違われることも多いですが、血液中の成分が足りない状態ではなく、“血の巡り”に関わる問題です。
起立性低血圧の主な原因とは?
この症状の多くは、自律神経のはたらきがうまくいかないことがきっかけです。以下のような生活習慣や状態が影響します。
- 栄養不足(特に鉄分やたんぱく質の不足)
- 睡眠不足
- 運動不足、または立ちっぱなしの仕事
- 心身のストレス
こうした要因で血流の調整がスムーズにいかなくなると、立ち上がったときに脳へ血液が届きづらくなり、クラッとした症状につながるのです。
また、立ち上がった直後に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上下がる場合、医療機関では「病的」と診断されることがあります。
起立性低血圧が起こるメカニズム
人は立ち上がると、重力の影響で血液が一時的に下半身にたまりやすくなります。そのため、脳への血流が減少し、酸素が足りなくなってしまうのです。
通常は自律神経が素早く働いて、血管を引き締め、血液を上半身に戻そうとします。でも、この反応がうまくいかないと、脳が酸素不足となり、めまいやふらつきなどの症状が出てしまいます。
病的な起立性低血圧とは?
ほとんどのケースでは、一時的なもので、横になったり休憩することで自然と回復します。
でも、次のような特徴がある場合は「病的」とみなされることもあります。
- 頻繁にふらつきや失神をくり返す
- 安静にしても回復に時間がかかる
- 日常生活に支障が出るほどの症状がある
このような場合、自律神経のはたらきに問題があったり、背景に他の病気が隠れていたりする可能性も。症状が続くようなら、早めに医療機関に相談しましょう。
立ち上がると頭が痛い…その原因は?
立ち上がったときにズキッとする頭痛も、脳への血流不足が原因とされています。
血流が一時的に減ることで脳内の血管が拡張し、神経を圧迫することによって頭痛が起こると考えられています。また、血圧がもともと低めの人は、首や肩まわりの血流も滞りやすいため、老廃物がたまりやすく、コリや頭重感にもつながります。
こうした場合は、体全体の血の巡りをよくする生活を意識することが予防につながります。
自律神経が乱れる一番の原因は「ストレス」
自律神経は、呼吸や血圧、消化など、意識しなくても体を整えてくれる“自動調整装置”のような存在です。
そんな大事な神経を乱してしまう最大の要因が、ストレスです。
ストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れ、血圧の調整もうまくいかなくなり、結果として起立性低血圧が起こりやすくなります。
他にも、自律神経が乱れる原因として以下のようなことが考えられます。
- 睡眠リズムの乱れ
- 偏った食生活
- 運動不足
- 急激な気温の変化や日照不足
こうした要因が重なって、自律神経の働きが鈍くなってしまうのです。
まとめ
起立性低血圧は、一時的な症状として見過ごされがちですが、その背景には自律神経の乱れや生活習慣の影響が深く関係しています。
特に、ストレスや栄養不足、睡眠の質など、日々の小さな積み重ねが体に大きな影響を与えることも。症状が頻繁に出るときは、自律神経の不調や他の病気が関わっている可能性もあるため、早めに対策を考えてみましょう。
ご自身やご家族の安心のために、今日からできることから少しずつ始めてみてください。

