最近、「なんだか疲れやすい」「イライラしがち」「気分が落ち込む」そんなお悩みを感じていませんか?
もしかすると、それは「鉄分不足」が関係しているかもしれませんね。
特に月経のある女性にとって、鉄分は失われやすく、不足しがちな栄養素です。
慢性的な疲労感や集中力の低下だけでなく、感情の浮き沈みにも影響を与えることが知られています。
そんな鉄分ですが、単に多く摂ればよいというものではなく、実は「どれだけ吸収できるか」がとても大切なのです。
この記事では、鉄分の吸収率を高めるために知っておきたい栄養素や食べ合わせの工夫について、わかりやすく解説します。
ちょっとした意識と工夫で、体も心もグッと軽やかになるかもしれませんよ。
鉄分は毎日どれくらい必要?
鉄分は、汗や尿、皮膚の代謝などを通じて毎日少しずつ体外へ排出されているため、食事で継続的に補うことが必要です。
つまり、鉄分不足とは「日々失われる鉄分量に対して、補給が追いついていない状態」のことを指します。
鉄分の推奨量と摂取量の比較
以下の表は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をもとに、年代別の鉄分推奨量と実際の平均摂取量を比較したものです。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢(歳) | 推奨量 | 摂取量 | 推奨量 | 摂取量 |
1~6 | 4.5~5.5 | 4.4 | 4.5~6.5 | 4.1 |
7~14 | 6.5~11.5 | 6.9 | 6.5~14.0 | 6.3 |
15~19 | 7.0~9.5 | 8.6 | 10.5 | 7.0 |
20~29 | 7.0~9.5 | 7.6 | 10.5 | 6.6 |
30~39 | 7.5 | 7.5 | 10.5 | 6.5 |
40~49 | 7.5 | 7.5 | 10.5 | 6.7 |
50~59 | 7.5 | 8.3 | 10.5 | 7.4 |
60~69 | 7.5 | 8.9 | 10.5 | 8.2 |
70~ | 7.0 | 8.7 | 10.5 | 7.9 |
※単位はmg/日 ※女性推奨量月経なしの推奨量 ・7~14歳:6.5~10.0 ・15~29歳:6.0~7.0 ・30~69歳:8.5~9.0 ※妊娠初期推奨量:+2.5 ※妊娠中・後期推奨量:+15.0 ※授乳期推奨量:+2.5 |
特に女性においては、すべての年代で推奨量を下回っており、鉄分が恒常的に不足している現状が浮き彫りになっています。
鉄分は吸収されにくい
鉄分を豊富に含む食材をたくさん摂っても、実際にはそのすべてが体に吸収されるわけではありません。
なぜなら、鉄分の「吸収率」は決して高くないからです。
つまり、鉄分不足を解消するためには「量」だけでなく、「吸収のされやすさ」にも注目する必要があるのです。
効率よく鉄分を吸収するためには
鉄分の吸収効率を高めるためには、次の2つのポイントを押さえることが効果的です。
- 食品に含まれる鉄の種類を理解すること
- 吸収を助けたり、逆に阻害したりする成分を把握すること
この2点を意識した食事を続けることで、より効率的に鉄分を体に取り込むことができるでしょう。
鉄の種類とは?(ヘム鉄・非ヘム鉄)
鉄の種類 | 含まれる食品例 | 吸収率の目安 |
---|---|---|
ヘム鉄 | 肉類、魚介類 | 約10〜20% |
非ヘム鉄 | 野菜、大豆製品、穀類など | 約1〜5% |
ヘム鉄は主に動物性食品(肉や魚など)に含まれ、吸収率が高めです。
一方、非ヘム鉄は植物性食品(野菜や豆類など)に多く含まれますが、吸収率は低めです。
ただし、非ヘム鉄でも、ビタミンCなどと一緒に摂ることで吸収率を高めることができます。

鉄分の吸収を助けるもの
以下に挙げる栄養素は、鉄分の吸収を促進してくれる頼もしい味方です。
栄養素 | 効果・働き | 含まれる食品例 |
---|---|---|
動物性たんぱく質 | 非ヘム鉄と結びつき吸収を助ける | 肉、魚、卵 |
ビタミンC | 非ヘム鉄を還元して吸収されやすい形に変える | パプリカ、キウイ、柑橘類 |
カルシウム | リンの阻害を軽減し吸収をサポート | 乳製品、小魚、大豆製品 |
果実酸(クエン酸等) | 鉄を包み込んで吸収しやすくする | レモン、梅干し、トマト |

鉄分の吸収を阻害するもの
成分名 | 含まれる食品例 | 対処法・工夫 |
---|---|---|
タンニン・カフェイン | 緑茶、紅茶、コーヒーなど | 食事の30分〜1時間後に飲む |
シュウ酸 | ほうれん草、たけのこなど | 下茹ででアク抜きを行う |
フィチン酸 | 玄米、ぬか、豆類など | 発酵・加熱・浸水で影響を軽減できる |
これらの成分を完全に避ける必要はありませんが、タイミングや調理法の工夫が吸収率を左右します。

今日から始める鉄分対策
鉄分対策で重要なのは、「どれだけ摂るか」よりも「どれだけ吸収できるか」に注目することです。
- ヘム鉄と非ヘム鉄の違いを理解する
- 吸収を助ける栄養素を意識的に摂る
- 阻害する成分はタイミングを考慮して調整する
といった工夫が大切になります。今日からでも始められる、小さな積み重ねこそが、将来の健康を支える大きな力になります。
より具体的な食材やレシピを知りたい方は、以下の記事をご参考にしてください。

また、鉄分不足が精神面に与える影響について詳しく知りたい方はこちら▼
