「甘いものがどうしてもやめられない…」と悩んでいませんか? ダイエット中なのにスイーツに手が伸びてしまうのは、意志の問題だけでなく、体の状態が関係していることもあります。とくに鉄不足は女性に比較的多く、エネルギー代謝の乱れを通して甘いものを欲しやすくする一因となることがあります。
この記事では、甘いものが欲しくなる体の仕組みと、鉄不足との関係について分かりやすく解説します。体の状態を知ることで、自分を責めずに前向きな対策を考えるきっかけになれば幸いです。
甘いものへの欲求、実は“体のエネルギー”と関係している場合も

甘いものを強く欲する背景には、生活習慣だけでなく、体のエネルギー代謝が影響している場合があります。私たちの体は、食べた栄養からATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを作って活動していますが、鉄などの栄養素が不足すると、このエネルギー産生が効率よく働かなくなることがあります。
このような状態が続くことで、疲れやすさやだるさを感じやすくなり、結果として、手軽にエネルギー補給のできる甘いものに手が伸びやすくなる「一因」となる場合があります。
体がエネルギー(ATP)を作る主な流れ

私たちの体は、食べた栄養を利用して次のような流れでエネルギー(ATP)を作っています。
- 解糖系:最初に素早く少量のATPを作る
- クエン酸回路(TCA回路):ミトコンドリアでさらにエネルギーを作る
- 電子伝達系:最終段階でまとまった量のATPを産生する(一般に30個前後とされています)
この後半のプロセス(TCA回路〜電子伝達系)がしっかり働くためには、鉄やビタミンB群などの栄養素が重要です。鉄は、エネルギー産生に関わるたんぱく質の働きを支えており、鉄不足になると、エネルギー産生の効率が低下することがあります。
鉄分が不足すると、甘いものを欲しやすくなることも

鉄分が不足すると、体の中でエネルギーをつくる働きがうまく回らず、疲れやだるさを感じやすくなることがあります。こうした状態が続くと、結果として手軽にエネルギー補給ができる甘いものに自然と手が伸びやすくなる場合があります。
そのため、「甘いものがやめられない」という背景には、単に意志の問題だけでなく、体のエネルギー代謝が影響していることも考えられます。
甘いものに頼らないための「エネルギーづくり」を助ける食事

エネルギーを効率よく生み出すためには、「特定の栄養だけ」に偏らず、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
糖質・たんぱく質・脂質を適切に組み合わせながら、鉄やビタミンB群などの栄養素を意識して取り入れることで、エネルギー代謝をサポートし、甘いものに手が伸びにくい状態を作りやすくなります。
おすすめのポイント
- “ごはん+たんぱく質+野菜” の3点セットを意識する
- たんぱく質をしっかり摂取する(肉・魚・卵・大豆製品など)
- 鉄を含む食品をとり入れる(赤身肉、魚、レバー、豆類、ほうれん草など ※植物性鉄は吸収率が低いため、動物性食品と組み合わせるのがおすすめです)
- ビタミンB群を含む食品を意識する(肉・魚・卵・全粒穀物など)
- 極端な糖質制限や高脂肪食など、偏った食事は避ける
自分に合った食事バランスは体質や健康状態によって異なります。体調不良が続く場合や持病がある場合は、医療機関や管理栄養士に相談することもおすすめです。
おすすめの食材例:
- たんぱく質を含む食品:肉や魚、卵、大豆製品 など
- 鉄を含む食品:赤身肉、魚、レバー、豆類、ほうれん草 など
- ビタミンB群を含む食品:肉・魚・卵・全粒穀物 など
こうした食品を、普段の食事に“少しずつ・続けて”取り入れることで、体のエネルギーづくりをサポートし、甘いものに手が伸びにくい状態を整えやすくなります。
女性は鉄不足になりやすいの?

月経のある女性では、体の状態や生活背景によって、鉄不足や鉄欠乏性貧血が起こりやすいことが知られています。健康診断で「異常なし」と言われても、ヘモグロビンは正常なのに、体の中の貯蔵鉄(フェリチン)が少なくなっている場合もあります。
「もしかして自分もそうかも?」と感じたら、まずは体の状態を知ることから始めてみるのも一つの方法です。ただし、自己判断で鉄剤やサプリメントを始める前に、医療機関での血液検査を受けることが望ましい場合もあります。
まとめ:鉄分を補って甘いものに振り回されない毎日へ

甘いものがやめられない背景には、生活習慣だけでなく、体のエネルギー代謝や栄養状態が関係していることもあります。とくに女性では鉄不足が起こりやすく、エネルギー代謝が十分に働かなくなることが、甘いものを欲しやすくなる一因となる場合があります。
まずは、食事のバランスを見直したり、鉄やビタミンB群などの栄養素を意識して取り入れるなど、できることから始めてみましょう。
体の状態を整えてあげることが、甘いものとうまく付き合う第一歩になります。
監修:山本佳奈医師
コメント:甘いものがやめられない背景には、生活習慣だけでなく、体の状態が関係していることもあります。鉄不足は女性に比較的多く、疲れやすさや集中力の低下などを介して、甘いものを欲しやすくする一因となり得ます。ただし、原因はひとつではありません。「意志が弱いから」と自分を責める必要はありません。
もし、こうした症状が続いていたり、めまい・息切れ・月経量が多いといったサインがある場合は、自己判断でサプリメントを始める前に、一度医療機関で血液検査を受けてみることをおすすめします。ご自身の体の状態を知ることが、よりラクに過ごすための第一歩になります。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。内科医。日本医師会認定産業医。一般社団法人 日本貧血改善協会 理事として、貧血に関する啓発・記事監修・教育活動に携わっている。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)。

