
多忙な毎日の中で、なんとなく体調がすぐれないと感じることはありませんか? 実は、その原因は鉄分の不足にあるかもしれません 。
この記事では、貧血とはどのような状態なのか、そして鉄分が私たちの体でどのような働きをしているのかについて、医学的な視点から分かりやすく整理してお伝えします。
1. そもそも貧血とはどのような状態ですか?

貧血とは、「血液中のヘモグロビン(Hb)が少なくなり、全身へ十分な酸素が運べなくなった状態」のことです 。原因のひとつが鉄欠乏であり、その中でも最も多いのが鉄欠乏性貧血です。
症状について
貧血はゆっくり進行することが多く、その場合は無症状で経過することも少なくありません。一方で、急にヘモグロビンが低下した場合や、もともと心肺機能に負担がある方では、動悸・息切れ・めまい・頭痛・疲れやすさ(易疲労)・倦怠感などの症状が現れることがあります。さらに状態が続くと、皮膚・髪・爪の変化などが見られることもあります。
貧血の症状は、ヘモグロビンの値だけでなく、「どのくらいの速さで進行したか」や、その人の体力・心肺機能などにも影響されます。
(参考文献:Williams Hematology, 9th ed. / UpToDate “Clinical manifestations and classification of anemia”)
※なお、成人男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血がみられる場合は、「単なる鉄不足」と片付けず、消化管出血などの背景疾患が隠れていないかを確認することが重要です。
2. 鉄分は体内でどのような役割を果たしていますか?

鉄には、私たちの健康にとても重要な3つの役割があります 。
- ヘモグロビンの材料として全身に酸素を運ぶ
- 筋肉中のミオグロビンとして酸素を保持する
- 神経伝達物質の合成にも関与する
3. 鉄が不足するとどうなりますか?

鉄の不足は、上記のような重要な役割が果たせなくなるため、様々な形で私たちの健康に問題をもたらしてしまいます 。
4. 貧血予防のためにできることは何ですか?

貧血を予防するためには、日々の食事から鉄分を摂ることが大切です 。
- 鉄は酸素と結びつく性質があり、この働きによって血液は赤く見えます。
- 赤身の肉や魚などに含まれるヘム鉄は吸収されやすく、効率よく鉄分補給に役立ちます。
- 日々の食事の中で、意識して鉄分を取り入れることが、貧血予防につながります。
(ただし、自己判断で鉄剤を長期間服用し続けることは推奨されません。鉄過剰となる場合や、貧血の原因となる疾患の発見が遅れる可能性があるため、必要に応じて医療機関で評価を受けることが大切です。)
まとめ
貧血とは、血液中のヘモグロビンが低下し、全身が酸素不足になる状態です。その原因の一つが鉄欠乏であり、日常生活での鉄分補給は欠かせません。無症状の場合もありますが、頭痛や疲労、美容面の不調につながることもあります 。
鉄分は酸素の運搬・貯蔵や神経伝達物質の生成など 、私たちの健康を支える重要な役割を担っています。
貧血を防ぐためには、鉄を多く含む赤身の肉や魚を積極的に食事に取り入れ、日々の鉄分補給を心がけましょう。
無症状の場合も少なくありませんが、気になる症状が続く場合や貧血を指摘されたことがある場合は、自己判断で済ませず医療機関で相談することをおすすめします。
執筆・監修:山本佳奈医師

